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【国際】労働の男女不平等により貧困国の女性が被っている損失は年間9兆USドル

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貧困国の女性は労働面における男女不平等により毎年9兆USドル相当の損失を被っており、その金額は英国、フランス、ドイツのGDPの合計よりも多い。そんな衝撃的な調査結果を国際開発機関のActionAidが明らかにした。この甚大な不均衡は、主に男女間の賃金格差と雇用格差によって引き起こされている。

ActionAidは1月23日にダボス会議の中で公表した調査結果"Close the Gap!"の中で、女性の労働力搾取にスポットライトを当てるよう呼びかけた。ActonAidによれば、女性は増えた収入を食料や健康、子供の教育に投資する傾向にあるため、この男女間の不均衡を是正することは、女性自身の生活の改善はもちろん、コミュニティ全体の支援にもつながるという。

開発途上国において労働における大きな男女間格差が生まれる主な原因は二つある。

  • 開発途上国においては、女性は衣料品の製造や露天商、家政婦など最も賃金が低く搾取的な仕事に就いている
  • 女性は多くの時間を子育てや病人、老人の介護に費やしており、男性と同等の雇用機会を得ることができない。またそれらの仕事の多くは軽視されており、全く給料を払われてはいない。世界銀行によると、女性はこういった無償労働に男性の10倍以上の時間を費やしている。また、貧困国においては薪集めや水汲み、政府が提供できない基本的なヘルスケア・教育サービスなどに時間を費やす必要があり、さらに女性の負担を重くしている。

ActionAidの政策室長を務めるLucia Fry氏は「貧困国の女性の労働力を金額換算すると毎年9兆USドルという多大な金額になる。これらの女性は家事という無償の重い負担を背負いながら、低賃金で不安定な雇用形態のもとで社会の最下層に属している」と現状を訴えた。

ActionAidは、貧困に苦しむ女性たちが自身と家族の生活を改善できる余地はまだ豊富にあるとしている。女性の経済的不平等に対する損失は金銭面にとどまらず、彼女たちの人生の選択に大きな影響を及ぼし、暴力や差別、搾取に対する脆弱性につながっているとして、政府や企業、国際機関などに対し、家族の世話から工場内の長時間重労働にいたるまで女性の仕事全てに価値を認めるように呼びかけている。

LuFry氏は「これは非常に大きな課題であり、一夜で解決できることではない。しかし世界中の何百万もの貧しい女性の生活を改善していくために我々ができることはたくさんある」としたうえで、「女性達の犠牲の上に利益を積み上げることを止めなければならない。そして、我々は国際的に合意された人権と労働に関する基準にこだわり、差別的な法律や慣行をやめ、家族に優しい政策やあらゆる階層の女性の声を反映することを政府や企業に求める必要がある」と語った。

ActionAidが指摘している通り、女性の賃金向上は女性の生活と地位向上だけではなく、教育への再投資などを通じてコミュニティ全体の富の創出にもつながる。特に貧困国において事業を展開している企業は、いかにこの男女間の格差を解消するインクルーシブなビジネスモデルを作り上げ、事業とコミュニティ双方のサステナビリティを実現することができるかが鍵を握ると言える。

【リリース原文】Gender inequality costs women in poor countries $9 trillion, ActionAid says
【団体サイト】ActionAid

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