企業による社会貢献を推進するCEOらのグローバルネットワーク、CECP(Committee Encouraging Corporate Philanthropy)は6月2日、The Conference Boardと共同で企業の慈善活動トレンドに関する年次報告書、"Giving in Numbers"を公表した。同調査によると、2012年から2014年にかけて企業の56%が寄付金額を増加させていることが分かった。
同報告書は、売上が総計8.3兆米ドルに相当する大手企業271社に対する調査に基づくものだ。CECPは、多くの企業にとって寄付金額を伸びは個人ベースによるものだが、伸び率は業界に関わらず概して安定しており、企業はますますコミュニティ投資を事業運営上必要不可欠だとみなすようになってきているとしている。
CECPによると、今回の調査結果では2012年から2014年にかけて特に下記5つの指標について顕著な伸びが見られたという。
- 社内スキルの活用: 従業員を活用して企業の専門スキルを寄付する企業が増えている。プロボノ(企業の40%→50%)やNPOのマネジメント(企業の43%→53%)が最も早く拡大しているボランティアプログラムで、業務時間内としての活動が最も一般的となっている(企業の60%)。
- 社会貢献による成長:社会貢献活動を通じて、企業間連携、新製品開発、インパクト投資などのイノベーションが生まれるケースが増加した。
- 効果の測定: 企業の85%が社会貢献プログラムのインパクトを測定しており、結果を測定している企業は寄付額を18%増加させた。これらの企業は売上に占める寄付金額の割合を0.11%から0.13%まで増やしている。
- 社会貢献を通じた業績向上:寄付を10%以上増加させた企業は、税引前利益において中央値で14%の成長が見られた。最も業績が良かった企業らはもっとも寄付増加率が高い。
- 役割の地位向上: コミュニティ投資に関わる従業員の数はレジリエントで、社員規模を縮小した企業の65%が社会貢献活動チームの規模を維持もしくは増やしていた。
今回の調査結果を受けて、CECPのCEOを務めるDaryl Brewster氏は「これらの5つの指標は、企業が従来の社会投資プログラムを更に戦略的・革新的に展開し、会社全体に目的を浸透させようとしていることを示している。これらの企業の目的とは社会の改善をビジネス業績の重要な測定基準にすることであり、我々は、その追求に向けてさらなる投資を呼びかけている」と語った。
コミュニティへの投資は単なる慈善活動ではなく、企業の長期的な事業価値創造につながるという考え方がより一般的になってきている。ボランティア活動を通じた従業員のスキル開発やモチベーション向上、コミュニティとの関係構築によるブランドエンゲージメントの強化など、積極的な社会貢献プログラムが企業にもたらす価値は大きい。レポートの詳細は下記からダウンロード可能。
【レポートダウンロード】Giving in Numbers
【参照リリース】Five Indicators Show Growth in Purpose at World's Largest Companies
【団体サイト】Committee Encouraging Corporate Philanthropy
【団体サイト】The Conference Board
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