アフリカ開発銀行、アジア開発銀行、欧州復興開発銀行、欧州開発銀行、米州開発銀行、世界銀行らの国際開発金融機関(以下MDBs)およびIMF(国際通貨基金)は7月10日、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けて今後3年間で4,000億米ドル以上の追加資金を提供し、官民セクターと密接に連携して開発途上国らの支援に取り組んでいくことを発表した。
現在世界では推定年間1350億米ドルのODAが途上国に対して提供されているが、MDBsらはSDGsの達成にはそれでもまだ不十分だとしている。MDBsらは、新興国および開発途上国ではインフラ投資だけでも年間1兆5,000億米ドルが必要であり、あらゆる資金をベストな方法で活用し、官民による投資が加速させる必要があるとしている。
MDBsによる開発融資の規模は2001年の500億米ドルから2015年には1,270億米ドルまで増加しており、MDBsによる民間セクターへの直接投資も同期間で4倍に増加しているとのことだ。今後3年間で4,000億米ドル以上の追加支援を行うという今回の宣言はさらにこの資金の流れを強化するためのものだ。
MDBsは、資金をより有効に活用するための次なるステップとして、開発途上国が自国の資源を活用する上で大きな役割を担うことができるよう支援するための新たな手法やツールの開発の必要性も挙げている。例えば現在MDBsおよびIMFは開発途上国と連携し、税制度を評価・改善するための新たなツールキットや政府の支出を改善するための電子調達システムの導入などに取り組んでいる。
また、MDBsはSDGsの達成のためには開発途上国に対する外部からの資金提供を増やすことが必要不可欠だが、この資金の流れが機能するためには、開発途上国自身の首尾一貫した開発戦略とマクロ経済の安定が必要だとしており、MDBsおよびIMFはそのために政策アドバイスや技術支援により途上国らの経済発展を支援していくとしている。
世界全体のサステナビリティを実現するためには、多くのサステナビリティ課題を抱え、気候変動や水不足などの環境変化にも脆弱な開発途上国への支援が欠かせない。MDBsが協働し、金融市場の力を活用して途上国に向けた大きな資金の流れを生み出していくことはそのうえで必要不可欠な取り組みだ。今後は官民を問わず、開発途上国への投資が世界全体で更に加速することが予想される。
【参照リリース】International Financial Institutions Announce $400 Billion to Achieve Sustainable Development Goals
【機関サイト】The World Bank Group
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