小売英国大手のマークス&スペンサーは4月19日、水産漁業のサプライチェーンにおける労働慣行や環境への改善を行うために、全ての取引先漁船に対して責任ある漁業スキーム(RFS)による認証を2021年までに受けることを要請すると発表した。RFSを全面適用するのは世界全体の小売業として初の試み。
RFSとは、自発的な漁業関係者によって制定された世界で唯一の漁獲慣習と水産業に従事する従業員の福利についての認証基準。英国政府の外郭公共団体であるSea Fish Industry Authority(通称Seafish)が管理運営している。この認証は、2006年5月に公表された後、2014年に世界的な認証基準であるISO17065に沿うよう改訂作業に入り、2016年1月に改訂版が発表さえた。認証では、漁船と船長に対して5つの分野から審査される。
- 安全、健康、福祉(強制労働の撤廃、労働環境改善など)
- 訓練、専門能力開発(安全関連の訓練の実施、技術・知識の向上促進など)
- 漁船とその使命(漁船の漁獲エリア規定、基準に対して全面協力することなど)
- 漁獲全般に係わる事項への配慮(水産物の品質の担保、水産物のトレーサビリティの担保など)
- 環境保全に係る事項への配慮(生態系保全、漁業科学の支援など)
マークス&スペンサーと取引契約がある世界中の全ての漁船は、2021年までにRFSからの認証を取るか、RFSからの認証をいつ取るか明記された計画を策定しなければならない。一方、英国籍の漁船に対してはさらにスケジュールが短く、2017年までにRFSからの認証を取るか、RFSからの認証をいつ受けるか明記された計画を策定しなければならない。
水産漁業での強制労働の実態が報告される中、英国の現代奴隷法とどう向き合うかの対応が、いま世界中の企業に対して求められている。英国企業であり、さらにサステナビリティで先陣を切ることをコミットしている同社が、いち早く一歩を踏み出した。
【参照ページ】M&S BECOMES FIRST RETAILER TO MAKE WORLDWIDE RFS COMMITMENT
【機関サイト】Seafish
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