米内務省魚類野生生物局(FWS)は1月11日、北米大陸で発見された種であるマルハナバチの一種「ラスティーパッチド・バンブルビー(Rusty patched bumble bee、学名:Bombus affinis)」を絶滅危惧種に指定した。北米大陸種のハチが同局に絶滅危惧種に指定されたのは今回が初めて。今回の決定は、1月11日発行の連邦政府官報に掲載され、2月10日から発効となる。マルハナバチは、殺虫剤や病気、気候変動によって大きく減少したと言われており、魚類野生生物局は「マルハナバチは絶滅の危機に瀕し、不安定なバランスにある」としている。
ラスティーパッチド・バンブルビーはかつて、米国中央部、北部、またカナダの一部でトマト、クランベリー、ピーマンなど商業作物の送粉者(花粉を運ぶ動物)として一般的な動物であった。しかし1990年代からラスティーパッチド・バンブルビーの個体数は87%減少し、2010年頃には絶滅したとも噂されていた。2014年には米東部のバージニア州で目撃され、その後種の保護の必要性が指摘されていた。
ラスティーパッチド・バンブルビーの個体数急減の理由としては、棲息地の喪失、病気や寄生虫、殺虫剤の使用、気候変動、極端に小さい個体数など様々の要因が関連しているという。また、研究者の中には、温室栽培トマトの授粉用としてアメリカに輸入されたマルハナバチに寄生していた侵入真菌のノゼマ病微胞子虫に原因があると見る人もいる。ヨーロッパ原産のノゼマ病微胞子虫は女王バチの不妊を引き起こし、働きバチと女王バチの寿命を縮める原因になることもあるという。
【参考】【アメリカ】農務省、ゼネラルミルズ、 ゼルシーズ、蜜蜂など送粉者保護でパートナーシップ(2016年12月23日)
【参考】【イギリス】ネオニコチノイド系殺虫剤が蜂の大量減少に関連。科学論文発表(2016年9月4日)
【参考】【アメリカ】バイエル、殺虫剤からの花蜂保護強化へ方針転換(2016年1月27日)
昨年末
米国では昨年末に、ハワイで発見された種であるHawaiian yellow-faced beeなど7種のハチが同様に絶滅危惧種リストに加えられている。ハワイでもハチの棲息地が減少に晒されている。
【参照ページ】Bee placed on endangered list after US habitat loss
【参照ページ】地域絶滅のハチ、バージニア州で発見
【絶滅危惧種リスト】Results of Species Search
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