米食品大手のマースは5月11日、同じくチョコーレート事業を手掛けるスイスのネスレ、スイスのリンツ、イタリアのフェレロ、米Ferrara Candyと協働し、チョコレート菓子のカロリー削減を実現していく新たな取組を発表した。欧米では現在、国際的に深刻化する肥満症の問題に対する官民の関心が高まっており、とりわけ英国では政府が砂糖含有量のガイドラインを発表するまでになっている。今回の発表は、産業界が自ら率先して、肥満症という社会課題に米国で取り組んでいく姿勢を示したもの。米国健康NGOのPartnership for a Healthier America(PHA)もこの取組に参加する。
マースは、すでにカロリー問題には取組を進めており、商品パッケージへのカロリー表示、特大サイズ商品の販売中止、100カロリー商品の展開など、一定の健康への配慮を見せてきた。直近に市場投入した新商品「マース・キャラメル」と「MALTESERS」でも200カロリー以内に抑えることを実現している。マースは、今回、同業他社とさらにカロリー問題について業界をあげて協働をしていくことを宣言。さらに、同社が北米で展開してるチョコレートブランド「マース・チョコレート・ノース・アメリカ」と「リグレー(Wrigley)US」について、2億米ドルを投じ、2022年までに両ブランドの半分の商品で、商品当たりのカロリーを200以内に抑えることをコミットした。
業界全体との取り組みでは、マースが先陣を切って始めた特大サイズの販売停止を参加他社にも広げていく。マースは2013年までに、特大サイズの替わりに、小分けし再密封可能なパッケージに入れた商品を投入。消費者が一度に大きな商品を食べてしまわない効果を狙った。同社は、このような施策を他社にも紹介し、消費者のカロリー摂取量削減に取り組む。また、PHAとの協働を通じて、チョコレートの正しい健康知識や食べ方の普及も行っていく。
さらにマースは、チョコレート以外の食品を扱う「マース・フーズ」ブランドでも、健康志向食品のラインナップを増やしていくことを宣言した。この分野でも今後6年間PHAと協働する。
食品分野ではここ数年、原材料農園などの人権問題や、森林伐採など環境問題が世界的にクローズアップされてきたが、新たに消費者の健康も大きな問題になってきた。
【参照ページ】Mars Chocolate & Wrigley Lead Confectionery Industry Evolution with Partnership for a Healthier America, Ensuring More Choice & Transparency for Consumers
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