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【日本】海外で関心高まる日本の労働慣行。2020東京五輪建設工事で23歳男性が過労死の疑い

 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会のメイン会場となる新国立競技場(オリンピックスタジアム)の建設工事現場で働いていた建設会社の男性新入社員(当時23歳)が、2017年3月2日に行方不明になり、4月15日に長野県内で遺体が発見された。極度の過重労働による過労死だと見られている。男性の両親が7月12日、上野労働基準監督署に労災申請を行った。遺族の代理人を務める川人博弁護士が7月20日、明らかにした。川人弁護士は、人権弁護士として有名。建設会社側も、労災である可能性が高いことを認めているという。

 死亡した男性は、大学卒業後の2016年4月、都内の建設会社に就職。就職先の会社は、新国立競技場の建設工事に一次下請けの業務をしており、男性も新国立競技場の地盤改良工事で施工管理の業務に従事していたという。川人弁護士によると、男性の勤務実態は、工事現場のセキュリティ記録やパソコンの記録を分析したところ、行方不明になる直前の約1ヶ月間の時間外労働時間は211時間56分にのぼったという。建設会社側は当初、時間外労働が「月80時間以内」と説明していたが、遺族側が納得せず同社や元請会社に対して勤務資料の提出を要求。提出された資料から、過酷な残業実態が明らかになった。

 新国立競技場の建設は、大成建設が工事を受注。川人弁護士は今後、男性の勤務先だった建設会社だけでなく、元請会社や発注者、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、東京都、政府関係機関などに対し、工事現場の労働実態の把握や改善措置を要求していく予定。川人弁護士が、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会に対応を要望したところ、「新国立競技場の事業主体はJSC(独立行政法人日本スポーツ振興センター)」だとし、JSCに照会を行うと回答した。

 過酷な建設現場になった背景には、新国立競技場のデザイン案でゴタゴタがあり、確定するまでの時間がかかりすぎ、着工が予定より1年遅れたことにあると指摘されている。また大成建設が提案した施行計画にも無理があったのではないかとも言われている。

 今回の案件は、東京2020オリンピック・パラリンピックでの人権軽視の疑いという点で、海外の人権関連団体も大々的に取り上げてた。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会も今年1月、制定した「持続可能性に配慮した運営計画(第1版)」の条項「人権・労働・公正な事業慣行等への配慮」の中で、「スタッフが安心して働ける人権・労働環境(雇用/労働条件、社会保障、安全衛生など)を謳っている。今年5月12日には、国際労働機関(ILO)との間で、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を実現してくことを目指すパートナーシップも締結している。

 東京2020オリンピック・パラリンピックにより、日本への関心が高まる中、日本の労働慣行についても注目が集まってきている。

【参考】【日本】東京2020オリパラ委員会とILO、ディーセント・ワーク実現に向け提携(2017年5月24日)

【運営計画】持続可能性に配慮した運営計画

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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