化学世界大手独BASFとタイ農業・協同組合省米作局は10月4日、タイのコメ農家の安全性を高めるプロジェクトを開始した。BASFが開発した農家用の安全用具キットを、米作局がコメ農家に配布する。安全用具キットには、ニトリル手袋、粉末フィルターマスク、防護メガネ、図説取扱説明書が入っている。全てのキットは、米国とEUの基準を満たす。
この発表は、バンコクにある国連アジア太平洋経済社会委員会本部で開催された2日間の「サステナブル・コメ会議(SRC)」の場でBASFが実施。同会議を主催した農業のマルチステークホルダー・イニシアチブ「サステナブル農業プラットフォーム(SRP)」は、コメ農家の安全性向上は不可欠ととらえており、それにBASFが応じた形。
BASFは同時に、特定の除草剤への耐性を持つ自然勾配ハイブリッド品種と対応除草剤を組み合わせた同社の「Clearfield米作システム」を発表。遺伝子組換え作物(GMO)ではないため、GMOに対する懸念とは無関係。また、直播栽培で育つ品種のため、水消費量や二酸化炭素排出量も削減できる。Clearfieldコメ生産システムはすでにマレーシアで導入されており、BASFは近くBASFやその他アジア諸国での展開を目指す。
BASFはさらに、同社の科学的農法「AgBalanceメソッド」も紹介した。これは土壌状態、水消費量、生産コスト等69項目の指標から農家にとって最適な生産方式を導入していくモデル。こちらもすでにインドで実施されており、生産性向上を実現している。
BASFは、農薬・種子ビジネスにも注力しており、環境面に大きく配慮した農法を、国際会議の場で巧みにアピールした。今後アジア地域でも存在感を示していきそうだ。
【参照ページ】BASF helps Thai rice growers improve farm safety and reduce emissions
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