国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)の署名機関である大手16銀行が参加するパイロットプロジェクトは7月17日、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに基づき、銀行向けのガイダンス第2弾を共同で発行した。第1弾ガイダンスは4月24日に発行され、国際的な機関が発表した気候変動シナリオを用い、リクスエクスポージャーや潜在的な事業機会を評価する手法を整理。今回の第2弾ガイダンスは、気候変動による物理的リスク及び機会の評価手法について整理した。
【参考】【国際】世界大手16銀行、TCFDの銀行向けガイダンスを共同発表。PDやLGDにシナリオ分析を適用(2018年5月1日)
同プロジェクトは2017年7月11日にシティグループ、RBC、トロント・ドミニオン銀行、バークレイズ、スタンダードチャータード、UBS、サンタンデール銀行、ナショナル・オーストラリア銀行(NAB)、ANZ、バンコ・イタウ、バンコ・ブラデスコの11社が参加した発足。その後、10月17日までに、DNB、ラボバンク、BBVA、BNPパリバ、ソシエテ・ジェネラルの5社も参加を決めた。2018年1月16日には、専門アドバイザーとして、米コンサルティング大手オリバー・ワイマンとマーサーの2社を選定。英気候変動コンサルティングAcclimatiseもプロジェクトに対し助言を行っている。
今回開発したガイダンスは、融資ポートフォリオにおける気候関連物理的リスクをアセスメントし、「デフォルト率(PD)」や「ローン・トゥ・バリュー・レシオ(LTV)」を計算する手法に焦点を当てた。タイムホライゾン(時間軸)は、通常のストレステスト評価の2年から3年を大きく超え、2040年頃までを見据える手法を提示した。
(出所)UNEP FI
今回のレポート作成に当たっては、気候変動に影響が大きい農業、エネルギー、不動産業でパイロットプロジェクト分析を実施。その結果、気温上昇や降水量変化等の逓増的な影響と、頻度が増える異常気象等の突発的な影響の双方を銀行と融資先が認識することが大切だとまとめた。また、異常気象等の突発的な影響は関心を集めやすい一方、逓増的な影響についても同様に大切だとの見方も示した。
またレポートでは、パイロットプロジェクトの事例として、イタウ・ウニバンコの農業セクター融資、トロント・ドミニオン銀行の地理空間情報を用いた分析、UBSの電力会社融資、スタンダードチャータード銀行の中国不動産融資、ラボバンクのオランダ不動産融資の事例も紹介している。
新たな機会分野としては、気候変動適応や低炭素への移行に関する需要を挙げた。
【参照ページ】PHYSICAL RISK: SECOND PART OF GUIDANCE FOR BANKING INDUSTRY TO IMPLEMENT TCFD RECOMMENDATIONS NOW AVAILABLE
【レポート】Navigating a New Climate
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