EUで7月9日、第5次マネーロンダリング指令(AMLD5)が施行された。今回のEU法改正では、仮想通貨事業者、税サービス事業者、美術品取引事業者を反マネーロンダリング(AML)指令の対象に加えるとともに、株式等の実質所有者情報の開示に関する規定が含まれている。
第5次マネーロンダリング指令案は、パリやブリュッセルでテロ事件が発生し、パナマ文書事件で租税回避行為が明るみになった後の2016年7月に欧州委員会が提案。審議の後、2018年5月に欧州議会とEU理事会が承認し成立。6月19日に官報に掲載さた。第5次マネーロンダリング指令は、EU加盟国が国内法を整備して導入される「指令」であり、EU加盟国は2020年1月20日までに国内法整備の義務を負う。
【参考】【EU】EU理事会と欧州議会 、第4次マネーロンダリング指令改正で合意。実質株主・受益者開示ルール導入(2018年1月6日)
第5次マネーロンダリング指令の変更点は主に9つ。
- 株式や投資口等の実質所有者の政府登録制度と一般公開制度の義務化
- 信託の真の受益者の政府登録制度と税務当局のみへの開示制度の義務化
- 加盟国政府による実質所有者情報の登録審査と加盟国間での共有制度の導入
- プリペイドカード等の匿名利用の禁止(150ユーロ以下の店舗利用、50ユーロ以下のオンライン利用は容認)
- 反マネーロンダリング規制を仮想通貨事業者、税サービス事業者、美術品取引事業者にも適用拡大
- ハイリスク第三国との取引の評価基準を強化し、厳格なカスタマー・デュー・デリジェンス実施を義務化
- 中央集権の銀行・送金口座登録制度の導入。口座名義人、真の受益者、口座情報等を登録
- EU域内金融情報部門(FIU)の情報アクセス権限強化
- EU及び各国金融監督当局間の連携強化
【参照ページ】Strengthened EU rules to prevent money laundering and terrorism financing
【EU指令】5th Anti-Money Laundering directive
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