英国自治体の環境イニシアチブ「UK100」に加盟するうち16市政府とロンドンは8月26日、メイ首相やゴーブ環境・食料・農村地域相に対し、大気汚染の迅速な対策を要求する共同書簡を送付した。英政府は2017年に大気汚染低減に向けた政策方針を打ち出していたが、その後自治体や医師団体からも不十分との声が噴出。規制強化の声が強まっている。
UK100は、2015年に発足し、現在の加盟自治体数は91。2016年12月には当時のニック・ハード・ビジネス・エネルギー・産業戦略省の気候変動担当閣外相もUK100に対する支援を表明した。現在ロンドン市は加盟していないが、人口2位以下上位のバーミンガム、グラスゴー、リバプール、リーズ、シェフィールド、エジンバラ、ブリストル、マンチェスター、レスターや、大学都市ケンブリッジ、オックスフォードは全て加盟。UK100は、2050年までの域内電力100%再生可能エネルギーを掲げ、大気汚染等でも知見共有や英政府への提言等を表明している。
今回の共同書簡に署名したのは、バーミンガム、リバプール、リーズ、シェフィールド、ブリストル、マンチェスター、レスター、ブラッドフォード、ノッティンガム、オックスフォード、ピーターバラ、サウサンプトン、ストックポート、カーディフ、ニューカッスルの市長や市議会首脳に加え、ロンドン市長も署名した。加盟都市の人口は2,000万人を超える。スコットランドの自治体は参加していない。
書簡の背景には、昨年の英政府の大気汚染方針がある。ゴーブ環境・食料・農村地域相は昨年、大気汚染方針を発表し、2040年にガソリン・ディーゼル車の走行を禁止したが、自治体が要望していた大気汚染の多い車両の走行に課金できる「大気浄化ゾーン」制度については退けた。また、ディーゼル車両の廃車に助成金を与える制度については、低所得者層に保有が多い一部車種のみに限定したことで、自治体の不満を買った。2018年6月には、ロンドン市、UK100、シンクタンクInstitute for Public Policy Research(IPPR)の共催で、英国自治体初の「Clean Air Summit」を開催。その場で、共同書簡構想が立ち上がった。
今回の共同書簡は、英政府に対し、大気汚染物質の多いタクシーやハイヤー車両に課金できる権限の自治体への付与、旧型車両の買い替え促進スキームの整備、大気浄化ゾーン設定に向けた資金提供や大気汚染の少ない車種の開発資金援助を要求した。
英国では、欧州内でも大気汚染がひどく、欧州司法裁判所(ECJ)は2018年5月、EU基準に違反していると判決。対策に乗り出さない場合は、政府に膨大な罰金を課すと警告している。同時にEU基準違反を指摘された国は、フランス、ドイツ、イタリア、ハンガリー、ルーマニア。
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