
製鉄世界大手印タタ・スチールの欧州子会社英タタ・スチール・ヨーロッパ(旧コーラス・グループ)は9月6日、同社が開発した溶融還元プロセス「HISarna」の最新テストの結果を発表。当初の想定を超え、鉄鉱石還元プロセスでの二酸化炭素排出量を50%以上削減することが明らかとなった。
HISarnaは、各社が技術開発に取り組む極低炭素排出製鉄(UCLOS)の一つ。タタ・スチール・ヨーロッパは、コーラス・グループの前身、ホーホオーフェンス時代の1986年にリオ・ティントともにHISarnaの技術開発を開始し、2010年にはオランダ・エイマイデンの同社工場内に溶解高炉を建設し、実証実験を開始。年間6.5万tの銑鉄生産能力がある。その後、実証実験を発展させ、現在は第5段階フェーズ。実証実験炉はすでに、同工場の製造ラインの一部として組み込まれている。
HISarnaは、溶融還元プロセスと呼ばれる画期的な技術。タタ・スチールが開発した「サイクロン型転炉(CCF)」技術とリオ・ティントが開発した高度製錬技術「Hismelt」を結合させたもの。通常の製鉄プロセスでは、石炭をコークスに、鉄鉱石を鉄鉱石ペレット等に事前に加工してから高炉で還元反応をさせるが、HISarnaは石炭と鉄鉱石を事前加工せず、直接「サイクロン型リアクター」と呼ばれる炉に注入し、高温溶解し反応させる。これにより、二酸化炭素排出量を20%程度削減できると考えられている。さらに今回のテストでは、廃鉄スクラップとバイオマスを原料とした実験を実施し、成功した。今回の実験成功により、鉄鉱石の替わりに廃鉄スクラップを最大で53%混合できることがわかった。今後、鉄鉱石と廃鉄スクラップの理想的な配合の研究をさらに進めるが、二酸化炭素排出量を50%削減できる見通しとなった。炭素回収・貯留(CCS)設備を導入すれば、最大で80%削減可能。
同社はすでに、現状の20倍以上の量の溶融が可能な設備建設を開始しており、今後7年以内に稼働を開始する見込み。
【参照ページ】Innovative HIsarna technology exceeds expectations in sustainable steel production
【参照ページ】Hisarna, an Opportunity for Reducing CO2 Emissions from Steel Industry
【参照ページ】Development of the HIsarna process
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