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【EU】欧州委、タイのIUU漁業対策を評価し輸入「イエローカード」解除。時期尚早との批判も

 欧州委員会は1月8日、タイ政府が違法・未報告・未規制(IUU)漁業対策に非協力的として2015年4月から発動していた「イエローカード」措置を解除した。タイ政府が、漁業労働者への人権侵害や現代奴隷扱いを防止するための法規制や行政制度を整備したことに一定の評価をした。これによりタイからEUへの水産物輸出禁止警告が解かれた。

 漁業のサステナビリティを脅かすIUU漁業は、世界全体で年間1,100万tから2,600万t水揚げされていると推定されている。市場規模にすると100億から200億ユーロ(約1.25兆円から約2.5兆円)で世界市場の15%に相当する。そのうちEUは世界最大の水産物輸入国であり、2010年に施行したEUのIUU規則により、輸出国政府のIUU漁業対策度合いを基に、輸出許可措置を「グリーンカード」「イエローカード」「レッドカード」の3つに分類している。

 欧州委員会が、当該国をIUU漁業対策に非協力的と認定すると「イエローカード」が発動され、欧州委員会と当該国政府との間で公式協議が開始される。それでも非協力的と判断されると、「レッドリスト」が発動され、当該国からEUへの水産物輸入が禁止される。一方、公式協議を通じて、対策を開始したと判定されれば「グリーンカード」扱いとなり、警告が解かれる。

 タイ政府は、2015年4月に「イエローカード」が発動されて以降、欧州委員会との協議に建設的に臨んで来た。その中で、国際法に即した国内法の整備、国家としての義務遵守の強化、漁船統制強化、漁業活動の遠隔監視、港湾での検査計画の改善等を整備してきた。

 タイは、漁業国として世界有数で、太平洋とインド洋で操業を行っている。水産加工産業も発展しており、タイがIUU漁業に本腰を上げることは国際的に大きな意味を持つ。またタイは、国連食糧農業機関(FAO)の港湾国対策協定の締約国として、港での外国漁船上陸に対する規制を強化し、インド洋および太平洋海域の国々との協力も強化してきた。 また、EUは、タイ政府が最近、国際労働機関(ILO)漁業労働条約(第188号)を批准したことも評価した。

 一方、今回のタイの「イエローカード」解除は時期尚早との批判もある。環境NGOのEnvironmental Justice Foundationは、タイでの対策は不十分との見方を示した。またタイが結社の自由を保障する他のILO条約を批准していないことも問題視されている。

 欧州委員会は現在、カンボジア、コモロ諸島、セント ビンセント及びグレナディーン諸島の3カ国に対し「レッドカード」を発動している。また、キリバス、シエラレオネ、セントクリストファー・ネイビス、台湾、トリニダード・トバゴ、ベトナムには「イエローカード」が出ている。一方、かつて「レッドリスト」が発動されたが解除された国は、ベリーズ、ギニア、スリランカの3ヶ国。

【参照ページ】Commission lifts “yellow card” from Thailand for its actions against illegal fishing
【参照ページ】Questions and Answers - Illegal, Unreported and Unregulated (IUU) fishing in general and in Thailand

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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