大和ハウス工業は4月12日、同社が建設した戸建てや賃貸共同住宅の一部で、建築基準に関する不適合等が見つかったと発表した。防火安全性の法定基準を満たしていないおそれがある建物が賃貸共同住宅で200棟、法定の独立基礎の高さ基準を満たしていない建物が戸建住宅888棟、賃貸共同住宅990棟で合計1,878棟。発覚は2年以上の前の2016年12月の内部通報で、当時の大野直竹社長は2017年2月に問題を把握していたが、これまで公表してこなかった。
防火安全性の基準違反は、2001年1月31日から2010年6月30日まで東京都(145棟)・神奈川県(15棟)・千葉県(31棟)・埼玉県(7棟)・茨城県(1棟)・群馬県(1棟)の6都県で引き渡し、2階外部片廊下を支えるL字型の受柱を採用した賃貸共同住宅200棟。同200棟のうち、主要構造部を準耐火構造として建設する必要がある73棟については、同社の標準仕様と異なるため特定行政庁の指導の下、2019年4月を目処に至急改修工事を行うという。改修費用は約1億円。
また、当該賃貸共同住宅200棟のうち、型式適合認定を受けた仕様とは異なる柱で施工しており、基準違反のおそれのあった188棟のうち、3棟は安全性が確認できたが、残りの物件も確認する。
一方、独立基礎に問題があったのは、2000年10月5日から2013年2月28日まで、29都府県で引き渡した戸建住宅・賃貸共同住宅の一部1,878棟。そのうち9棟で第三者機関が安全性を検証したところ安全であることが確認された。残りの物件も確認する。こちらの改修工事費用については未定。
問題となった約2,000棟には、現在約7,000世帯が居住している。建築基準違反や認定建材以外での施工については、レオパレスで問題が発覚したばかり。大和ハウス工業の「内部統制システムの基本方針」によると、「取締役、執行役員、執行役員及びコンプライアンス責任者は、コンプライアンス上の問題を発見した場合はすみやかにコンプライアンス統括責任者に報告する」とある。一方、コンプライアンス統括責任者は「執行役員の中から選任」とあり、監督側の取締役が執行側の執行役員に報告するという真っ当でないガバナンスになっている。事態を把握したCEOが、社外取締役もいる取締役会に報告したのかも疑問が募る。大和ハウス工業のコーポレートガバナンス、リスクマネジメント、内部統制は、ポリシーを制定してはいるものの、実効性のない「見せかけ」のものになっていた可能性もある。
【参照ページ】戸建住宅・賃貸共同住宅における建築基準に関する不適合等について
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