【日本】「廃プラ・リサイクルはエネルギー回収が最適」日本の工業界見解。だがLCA手法には疑念も 2019/05/17 最新ニュース

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 日本化学工業協会、日本プラスチック工業連盟、プラスチック循環利用協会、石油化学工業協会、塩ビ工業・環境協会の化学系5団体で構成する「海洋プラスチック問題対応協議会」は5月14日、プラスチック廃棄物のマテリアルリサイクル、ケミカルリサイクル、エネルギー回収のライフサイクルアセスメント(LCA)を比較した結果をまとめた報告書を公表した。

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 同報告書によると、二酸化炭素排出量の削減効果が最も大きかったのは、石炭とともにボイラー燃料となるRPF(廃棄物固形燃料化)化した形でのエネルギー回収、次にアンモニア・ガス化によるケミカルリサイクル、その後に、マテリアルリサイクル、発電焼却の順となった。また、日本での主流の物質としてのリサイクルであるマテリアルリサイクルと発電焼却は「ほぼ同等のレベル」と結論づけた。その上で、日本化学工業協会の淡輪敏会長(三井化学社長)は同日の記者会見の中で、ペットボトル以外のプラスチックごみで不純物の多い素材では、マテリアルリサイクルは難易度が高く、エネルギー回収が重要との考えを披露した。

 だが、今回のLCAには評価手法に関する疑問が複数ある。まず、各リサイクル手法での二酸化炭素排出量、有効活用した場合の削減分の2本立てとしたことは評価できるが、手法への恣意性が見られる。今回、最も削減効果が大きいとしたRPFは、二酸化炭素排出量ではマテリアルリサイクルに劣るが、比較対象をより二酸化炭素排出量の大きい石炭としたため、有効活用した場合の削減効果が大きくなっている。しかし、ボイラー燃料として石炭を用いること自体が批判されてきてる中で、今後の政策方向性のために石炭を比較対象とすることは、果たして適切なのだろうか。

 また、現在急速に研究が進むケミカルリサイクルの分野でも、評価手法に大きな改善の余地がある。まず、ケミカルリサイクルは従来、高温高圧という環境が必要とされてきたため、リサイクルに大きなエネルギーを必要とし二酸化炭素排出量も大きかった。しかし昨今では常温常圧下でもケミカルリサイクルできる手法が数多く見出されており、評価手法が古すぎる、もしくは未来の提言としては今回の手法が適切とは言えない。常温常圧下でのケミカルリサイクルと比較すれば、他の手法よりも削減効果は大きくなることは明白だ。

 エネルギー焼却としての発電焼却が、マテリアルリサイクルと同等とした評価も疑念が残る。同報告書では、マテリアルリサイクルについて、再生素材の割合が増え、バージン素材の使用が減るにつれ、削減効果は大きいと明言している。表からもわかるように、再生素材割合を高めていったときの削減効果は、発電焼却よりも遥かに大きく、本当に「同等レベル」と結論づけてよいのだろうか。

 日本の工業界は従来から、エネルギー回収がベストと位置づけてきており、今回の結論も過去の姿勢を踏襲するものとなった。一方、世界的には、ケミカルリサイクルを追求し、LCAの基となる過去の各係数そのものを変えていこうというマインドが高まっている。今回の日本の工業界のLCAは、まず結論ありきの評価手法になってはいなかっただろうか。あらためて検証が必要となる。

【参考】【環境】プラスチック・リサイクルの今 〜分別回収したプラスチックは「リサイクル」されているのか〜(2018年8月28日)

【参照ページ】プラスチック製容器包装再商品化手法およびエネルギーリカバリーの環境負荷評価(LCA)を公表

著者プロフィール

夫馬 賢治

株式会社ニューラル 代表取締役CEO

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