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【EU】欧州環境庁、気候変動と農業・畜産業の影響分析報告書発行。農業放棄地増加の可能性も

 欧州環境庁(EEA)は9月4日、気候変動影響が増すにつれ農作物と家畜の生産量が減少し、特に欧州南部と地中海地方の一部では農地放棄の可能性も出てきていると発表した。旱魃、熱波、洪水等の大災害からの回復力を高めるには、EUの農業部門が気候変動への適応を最優先事項とする必要があると説いている。

 EEAがまとめた報告書「欧州の農業分野における気候変動への適応」では、これらの悪影響が今後さらに増加していくことや、EUの政策・プログラムが気候変動の対策として適応しているかどうか、また実行可能な対処策等をまとめた。同報告書の評価や説明は、「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」による最近の報告書と主要な部分で一致している。

 同報告書によると、気候変動は、農作物の収穫低下と生産コスト増をもたらす。欧州の一部では、農作物の価格、量、品質に影響を与えており、北欧では部条件改善が見られるものの、南欧の生産性は下がっていると分析した。

 気候変動シナリオによると、小麦、とうもろこし、てんさい等の非灌漑作物の収穫量は、2050年までに南欧で最大50%減少すると見られ、同様のシナリオでは、南欧の一部の農地の資産価値が2100年までに80%以上下がり、耕作放棄するところも出てくると見通した。輸出入に影響が出れば、第一次産業従事者の収入への影響も大きくなる。将来的に世界の食料需要の増加が見込まれることからも、今後数十年で食料価格への圧力は強くなりそうだと報告書は述べている。

 EEAのほとんどの加盟国では、国家適応戦略(NAP)が策定され、いずれの国も農業を優先セクターとして掲げている。NAPに基づく戦略思考が必要となっている一方、資金不足、適応するための政策支援、適応ノウハウへのアクセス不足等を理由に、個別の農場レベルでの適応は普及していないのが現状。EEA報告書では、他にも、環境に適応した作物の導入や灌漑技術の向上、アグロフォレストリー、作物の多様化、精密農業等、複数の手段を利用していくには、知識や意識の向上が必要だと強調している。

 EUでの二酸化炭素排出量のうち約10%が農業によるもの。

【参照ページ】Climate change threatens future of farming in Europe

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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