【国際】機関投資家イニシアチブILN、機関投資家向けのTCFDガイドライン発行。カルパース等 2019/10/01 最新ニュース

【国際】機関投資家イニシアチブILN、機関投資家向けのTCFDガイドライン発行。カルパース等 1

 サステナビリティや長期的成長推進の機関投資家団体「インベスター・リーダーシップ・ネットワーク(ILN)」は9月26日、機関投資家による気候変動情報開示ガイダンス「TCFD Implementation」を発行した。ILNは2018年のG7シャルルボワ・サミットで発足。現在、12機関が加盟している。

 ILNの加盟機関は、米カリフォルニア州退職年金基金(CalPERS)、カナダ・オンタリオ州教職員退職年金基金、アルバータ州遺産貯蓄信託基金(AIMCO)、OPTRUST、OMERS、カナダ年金制度投資委員会(CPP Investment Board)、ケベック州投資信託銀行(CDPQ)、アリアンツ、AVIVA、ゼネラリ保険、ナティクシス・インベストメント・マネージャーズ、PGGMの12機関。今回のレポートは、ILNに加盟する機関投資家のベストプラクティスを示した。

 同レポートでは、TCFDガイドラインに則り、「ガバナンス」「戦略」「シナリオ分析」「リスク管理」「指標と目標」の観点で、記載推奨内容をまとめた。

ガバナンス

  • 気候変動に対する政策やコミットメント、ガイドラインを公式に発表することで、期待を明確にする
  • 気候変動の財務的影響の明確化に時間を割くことで、機関投資家の関心を集めることができる
  • エグゼクティブスポンサーシップを有し、株式を買い付けることは、トップの姿勢を定め、気候変動への取り組みを促進するのに役立つ
  • ビジネスの状況に基づいて資源需要を判断し、アセットクラスの主要な担当者を特定することで、気候変動の統合を促進できます。
  • 気候変動のテーマについて検討する委員会の設置は、学習の共有やコラボレーション、イノベーティブなソリューションを促進する
  • 投資部門を気候変動リスクと機会に関する日々の検討に巻き込むことは、株式買い付けとエンゲージメントの促進に役立つ
  • 強力な気候変動に向けた企業文化を構築するには、職域を超えたチームの教育が重要となる

戦略

  • 投資目的によって戦略が異なるため、まずは目的から始める
  • 気候変動と低炭素経済に関連するリスクと機会を認識し、迅速に対応できるようにする
  • 気候変動はマテリアルな財務リスクだが、ポートフォリオ構成に応じて、その他の従来的な財務リスクが依然として大部分を占める可能性もある
  • 気候変動評価を投資プロセスに統合し、移行および物理的リスク、エネルギー移行の機会に関連する投資インサイトを強化する
  • 気候戦略の前進に向けて、財務・経済・ESG分野の強力かつ多様なバックグラウンドを有するチームを組成する
  • 資産を低炭素および気候変動へのレジリエンスのあるビジネスモデルに再利用する方法など、グリーンファイナンスを補完する広範な戦略を検討する
  • 二酸化炭素排出とエネルギー管理の双方を含む効率化戦略に注力する
  • 現実世界の脱炭素化は、発行市場や企業の変化を通じて実現可能。セカンダリーマーケットは、排出権所有者の変更に過ぎない
  • パリ協定の目標に向けた幅広い成果の達成のために、大規模な二酸化炭素排出元と全セクターの脱炭素化リーダーで建設的に協働する
  • エンゲージメントには時間と労力を要するが、労働者やコミュニティが取り残されるのを避け、低炭素社会への移行を促進する最も効率的な方法かもしれない
  • 投資対象除外とダイベストメントは、効果的なリスクマネジメント戦略となるが、資産の売却は所有者の変更に過ぎず、実際のインパクトは限定的。また売却は投資先の脱炭素に向けた影響力の放棄とも言える
  • TCFDレポートを元に投資判断するのは依然として困難だが、投資家が気候変動に関する情報を求めるならば、企業側には当該情報の活用方法を説明する責任がある

シナリオ分析

  • 複数シナリオを適用すると、気候変動に関連する様々なリスクと機会が明らかになるが、定期的に更新する必要があることを忘れない
  • シナリオの背後にある測定方法と仮定の理解に時間を要するのは、投資判断で活用できるシナリオ分析にする上で重要
  • ヒートマップに各セクターのシナリオ分析の結果をプロットすると、リスク軽減の意思決定に役立つ
  • どの気候シナリオが展開するかは、炭素税導入等の公共政策にもより、質的に予測不可能なため、複数シナリオの用意が必要
  • 気候変動のマクロ経済的、システミックな影響を考慮するトップダウンアプローチが重要。現状の保有資産をベースとしたボトムアップアプローチは近視眼的で、全体的なパフォーマンスへの影響を見逃す
  • ポートフォリオ構築チームと協働し、既存のリスク調整済みリターン測定と整合させる必要がある
  • シナリオ分析をより良く理解するために協働が重要
  • 企業にシナリオ分析を促すのは、気候レジリエンスの促進する上で有益
  • リスク管理
    ※戦略の一部と重複

    • 投資目的によって戦略が異なるため、まずは目的から始める
    • 気候変動と低炭素経済に関連するリスクと機会を認識し、迅速に対応できるようにする
    • 気候変動はマテリアルな財務リスクだが、ポートフォリオ構成に応じて、その他の従来的な財務リスクが依然として大部分を占める可能性もある
    • 気候変動評価を投資プロセスに統合し、移行および物理的リスク、エネルギー移行の機会に関連する投資インサイトを強化する
    • 気候戦略の前進に向けて、財務・経済・ESG分野の強力かつ多様なバックグラウンドを有するチームを組成する

    指標

    • 不明瞭なプロセスや不完全なデータを理由に作業を中断しない。時間経過と共に測定値は向上するため、今から始めることが重要
    • 炭素の利用の大きい年をベースラインとして、経年比較する
    • 上場株式ポートフォリオのカーボンフットプリント測定から始め、他のアセットクラスへとカバレッジを拡大する
    • 測定値や測定方法の検討にチームを参加させ、合意する
    • スコープ3排出量の測定を行うことで、資産の二酸化炭素排出量への影響やリスクをより正確に把握できる

    目標

    • 信頼のおける野心的な目標の設定する際、トップの姿勢は協力な原動力になる。リーダーは投資家から期待される限り、対話や個人のカーボンフットプリントの削減に備える必要がある
    • パフォーマンス向上の動機付けを行うには、目標と財務インセンティブの整合性をとる
    • 全てのデータが揃っていなくとも、取り組み始める。
    • 数年経たなければ効果が見えないかもしれいが、二酸化炭素排出量削減には企業の大規模な投資が必要
    • 長期的な目標を達成するために、特定の脱炭素化ロードマップを策定する
    • 適切な投資機会の将来的な利用可能性を評価し、実現可能なものを判断する
    • 投資戦略と制約に合った野心的かつ現実的な目標を設定する

    【参照ページ】TCFD Implementation Practical Insights and Perspectives from Behind the Scenes for Institutional Investors
    【参照ページ】Summary – TCFD Implementation

    株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

    Facebookコメント (0)

    ページ上部へ戻る