金融庁は10月21日、マネーロンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)に関する日本の金融機関の対応状況と課題をまとめた報告書を公表した。今回の報告書は、金融庁が金融機関監督を通じて得た知見を共有し、金融機関の実効的な体制整備を促すことにある。
2019年は、マネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)の第4次対日相互審査が実施される年にあたり、政府当局の整備状況と、金融機関等と当局の双方におけるマネーロンダリング及びテロ資金供与対策の有効性も審査される。
現状の課題については、銀行分野では、マネーロンダリングのリスクが比較的高い中、一部の金融機関においては、「リスクの検証に当たって、自らが取り扱う全ての商品・サービスを網羅していないなど、リスクベース・アプローチの前提である包括的なリスクの特定・評価が十分でない事例も見られる」と指摘。メガバンク3行についても、「新規及び既存顧客へのリスク評価と顧客情報の更新」「継続的な顧客管理」「外為事務受託先の管理」の3分野で改善の余地があるとした。
仮想通貨交換業者については、「多くの交換業者において、リスクが適切に評価できていない事例が見られた」と課題が多く、経営管理体制そのものにも問題があるとの認識も示した。100万円以下の資金決済を取り扱う資金決済事業者についても、「事業者によって、リスクの特定・評価の実施状況に差異があり、多くの事業者において、商品・サービス、取引形態、国・地域、顧客属性等の自らのリスクを包括的・具体的に特定・評価できていないなど、全体としては不十分な対応にとどまっている」と厳しく指摘した。
それ以外にも、保険会社や証券会社に対しても、個別の対応課題を記載した。
【参照ページ】「マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の現状と課題」(2019年9月)の公表について
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