G20財務相・中央銀行総裁会議は10月18日、ワシントンで会合を開催した後、法定通貨と連動等で価格変動を抑えたデジタル通貨「ステーブルコイン」に関するG20の方針をまとめた「グローバル・ステーブルコインに関するG20プレスリリース」を発表した。ステーブルコインは、「深刻なリスクを生じさせる」との見解を強調した。
暗号通貨(仮想通貨)は価格ボラティリティの高さから、通貨本来の交換手段としてではなく投機的な役割に甘んじていた。しかし、ステーブルコインは、法定通貨や原油価格等にペッグされることで、同課題の克服を図っている。同通貨には、たとえばフェイスブックが2020年発行予定の「Libra(リブラ)」等があるが、計画当初協働していたVISAやeBay、PayPal等の金融サービス企業の離脱発表により、今後の動向に注目が集まっていた。
G20はこうした金融技術革新による潜在的な便益に理解を示した一方で、6月の大阪サミット首脳宣言を受け、金融安定理事会(FSB)とマネーロンダリングに関する金融活動作業部会(FATF)から提出された、グローバル・ステーブルコインに関する報告を歓迎。マネーロンダリングや不正な金融に活用されるリスクを懸念し、ステーブルコインに対する規制が必要だという姿勢を示した。
FSBのクオールズ議長は10月13日、G20財務相・中央銀行総裁会議に対し送付した書簡の中で、ステーブルコインは、最高レベルの規制基準を適用し、金融監督の下に置かれる必要があると述べ、ワーキンググループを結成し、2020年4月に報告書草案を、7月に最終報告書を報告すると伝えていた。
また、G7の議長国フランスも10月18日、G7ワーキンググループによるステーブルコインの分析結果を報告。ステーブルコインは、他の暗号資産と異なり、法定通貨とペッグした価格の安定化を享受できるからこそ、決済や価値の保存を目的とした活用が、現行の通貨よりも、安く、早く、より包括的に機能する可能性を秘めていると指摘。そのために、法定通貨と同様のリスクマネジメントが必要だとしてた。考慮するリスクには、法的確実性、安定化メカニズムルール、マネーロンダリング、決済の安全性、サイバーセキュリティ、プライバシー、顧客保護、税法遵守、国際通貨システム、金融政策、公平な競争等を挙げていた。
今回のG20のプレスリリースを受け、今後FSBとFATFは、2020年の報告に向けた検討を進める。国際通貨基金(IMF)も、加盟国における通貨主権を含むマクロ経済上の課題について、各国の特徴も踏まえ検討を行う。
【参照ページ】グローバル・ステーブルコインに関するG20プレスリリース(仮訳)
【参照ページ】Focus: G7 work on stablecoins
【参照ページ】FSB Chair’s letter to G20 Finance Ministers and Central Bank Governors: October 2019
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