世界保健機関(WHO)は12月11日、医薬品世界大手米ジョンソン・エンド・ジョンソンのベダキリン(商標名サチュロ)を多剤耐性結核(MDR-TB)及びリファンピン耐性結核(RR-TB)への推奨薬に指定した。今回の指定は、南アフリカを主とする国家と研究機関の共有データに基づき決定。患者が副作用を引き起こす可能性のある注射剤を廃止し、より効果的なベダキリンの使用拡大を目指す。
結核は依然グローバルの死因としてワースト入りする病気。2018年には1,000万人が発症し、150万人の死亡が報告されている。多剤耐性結核(MDR-TB)及びリファンピン耐性結核(RR-TB)の新規症例は毎年50万件と推定されるが、2018年に治療を受けたのは3件に1件。同年の治療の成功率は、多剤耐性結核(MDR-TB)とリファンピン耐性結核(RR-TB)で56%、超多剤耐性(XDR-TB)で39%となった。
ジョンソン・エンド・ジョンソンは、20年にわたり結核治療に取り組んできた。ベダキリンが2012年に米食品医薬品局(FDA)から承認を得た時点で、同薬品は40年以上の開発期間を要し、作用メカニズムを備えた初の結核薬だった。現在同社は、138カ国で18.4万種以上のベダキリンを提供。そのうち30カ国では、多剤耐性結核(MDR-TB)に係る費用を負担する最大の企業。10.5万種の治療を無償提供し、米国国際開発庁(USAID)や製薬大手ロシア「ファームスタンダード」と協働で、80カ国で4年間の寄付プログラムを実施している。
今回の速報は、国家の計画策定と迅速な取り組みに向け、結核プログラムやMDR、RR-TB、XDR-TB治療の周知を目的に、2020年更新予定の統合ガイドラインに先立ち発表された。詳細な推奨事項は、同ガイドラインに記載予定。
【参照ページ】Rapid Communication: Key changes to the treatment of drug-resistant tuberculosis
【参照ページ】World Health Organization Recommends the Use of Bedaquiline-Containing Treatment Regimens For All Drug-Resistant Tuberculosis Patients
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