トヨタ自動車は4月7日、トヨタグループ全体で、新型コロナウイルス・パンデミック感染拡大の抑制や医療現場の支援に向けて、製造・物流面でのノウハウや、グローバルに広がるサプライチェーンを活かした支援を展開すると発表した。同時に、事態収束後の経済活動の復興に向けた態勢を整えておくため、雇用を守りながら自らの体質改善を図るとした。
支援策ではまず、トヨタ自動車貞宝工場において、医療現場で不足する医療用フェイスシールドを、試作型や3Dプリンター等で製作。週500から600個程度で生産し、医療機関へ提供する。人工呼吸器等の医療機器の増産では、医療機器メーカーにトヨタ生産方式(TPS)のノウハウを導入し、生産性向上を図る。医療機器の増産に向けた支援は、日本政府が日本自動車工業会(自工会)に要請していた医療用マスクや防護服、体温計等の衛生用品では、同社のサプライチェーンを通じた調達支援を行う。病院向けの簡易ベッド台、消毒液容器、医療機関等での簡易間仕切り壁等の医療機器以外の必要備品では、アイシン精機が生産協力の調査を開始した。トヨタグループ自身の生産活動に必要なマスクは、自社施設内で生産する体制に入る。すでにデンソーが1日10万枚、トヨタ紡績が1日1.2万枚の生産を計画。他のグループ各社でも自社生産を検討している。
各国で急いでいる治療薬開発や感染抑制に向けた研究では、カナダD-wave社が進める量子コンピューターの利用サービスの無償提供プロジェクトにデンソーが参画。東京都内を中心とした感染拡大地域では、軽症感染者をタクシーで移送する際の社内での飛沫循環抑制の手法を検討。治療薬開発や感染抑制に向けた各国の研究支援を目的に、カナダD-wave社が進める量子コンピューターの利用サービスの無償提供プロジェクトにデンソーが参画し、利用促進に向けた技術支援を行っていく。
トヨタ自動車は、欧米や中国にある海外法人では一部先行して医療用フェイスシールドの生産や、TPSノウハウの提供、医療従事者向けの車両・レンタカーの提供を先行して実施している。TPSノウハウ提供では、東日本大震災のときにも救援物資の現地配布等で支援を行った実績がある。中国紅十字社へは、医療用品の購入費用を寄付した。
企業体質の改善では、「無駄なことは、思い切ってやめる」としつつ、「より生産性を高めるために、やり方を変えていく」「どのような状況でも「やるべきこと」はしっかりやる」を掲げた。
まず人事制度では、在宅勤務等のリモートワークをより一層促進するため、就業規則や勤務ルールなどの見直しを実施。また日々、一人一人の仕事のタスクや実施事項をより明確にすることで、個々人の業務量や進捗を日単位で把握して個人の評価に反映し、仕事の組み換えや組織全体の効率化に結び付ける。各職場において、身につける必要のある専門能力を「能力マップ」として整備する。
生産現場では、通常の生産ライン稼働時には実施困難となる老朽設備の更新、生産設備の点検、職場環境の向上や、今後の競争力強化につながる改善など、各社において将来に向けて取り組むべき改善活動を、生産停止や縮小によって生まれた時間を活用し、積極的に進める。サプライチェーンを維持するために、各サプライヤーの課題を把握し、サプライヤーと一体となった生産性向上を進める。
【参照ページ】トヨタグループ、医療現場および医療用品への支援を表明
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