世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は4月30日、国際保健規則(IRH)に基づく緊急委員会の第3回会合をオンラインで開催。「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)」が依然として続いていることを確認した上で、IHRに基づく勧告を各加盟国に行った。
緊急委員会の開催は、PHEICを宣言をWHO事務局長に勧告した1月30日以来。今回の勧告では、WHOに対し、新型コロナウイルスのモニタリング、他の動物への感染、ドメスティック・バイオレンス(DV)やネグレクトに対する対策で各加盟国を支援するよう伝えた。また、エピデミック情報ネットワーク(EPI-WIN)等を通じた各加盟国とのリスク・コミュニケーションや、重症急性呼吸器感染(SARI)やインフルエンザ類疾病(ILI)のサーベイラインスに関するガイダンスの提供等も勧告した。
【参考】【国際】WHO、武漢発生の新型コロナウイルスで緊急事態宣言。加盟国に対策強化を勧告(2020年1月31日)
各加盟国に対しては、WHOとの協働や協調、医療体制の緊急事態への備え、サーベイランスの実施、WHOへの情報提供を勧告した。一方で、食料、医療資材等の国際貿易を禁止を避けるよう勧告した。
WHOに対しては、米国政府から改革を求める批判や資金拠出の停止の声が上がっているが、各界からの支援がむしろ集まっている。4月24日には、WHO、フランス政府、欧州委員会委員長、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が、新型コロナウイルス対策を強めるイベントを共催。国連事務総長、アフリカ連合(AU)議長、G20議長、フランス、ドイツ、ベトナム、コスタリカ、イタリア、ルワンダ、ノルウェー、スペイン、マレーシア、英国からも大統領や首脳級が参加した。
国連財団とスイス慈善財団が設立したWHO支援基金「COVID-19 Solidarity Response Fund」でも、寄付金総額が2億米ドル(約210億円)を超えた。寄付企業には、フェイスブック、グーグル、マイクロソフト、アマゾンのAWS、リンクトイン、TikTokのByteDance(字節跳動)、SAP、ZOOM、IBM、NIKE、アディダス、グラクソ・スミスクライン、ジョンソン・エンド・ジョンソン、モルガン・スタンレー、JPモルガン・チェース、HSBC、アメリカン・エキスプレス、BP、ダウ、シスコシステムズ、シティ財団、GE財団、グッチ、GAP財団、ペプシコ、ウォルマート、ナスダック等。日本企業でも、バンダイナムコ、第一三共、任天堂、ソニー、テルモが寄付した。
一方、WHOに対しては、サイバーセキュリティ攻撃も強まっている。4月23日のWHOの発表では、450人分の古いメールとアドレスが流出。WHOは、データが古いため、セキュリティが脆弱とはならないと表明した。
欧州投資銀行(EIB)は5月1日、WHOとの連携強化を表明。長期的なパンデミックやエピデミック対策のため、14億ユーロをアフリカでのインフラ強化に拠出すると発表した。長期的に52億ユーロを拠出することでもWHOと合意した。
【参照ページ】Statement on the third meeting of the International Health Regulations (2005) Emergency Committee regarding the outbreak of coronavirus disease (COVID-19)
【参照ページ】Global leaders unite to ensure everyone everywhere can access new vaccines, tests and treatments for COVID-19
【参照ページ】WHO reports fivefold increase in cyber attacks, urges vigilance
【参照ページ】WHO and European Investment Bank strengthen efforts to combat COVID-19 and build resilient health systems to face future pandemics
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