IT世界大手米フェイスブックは5月6日、投稿コンテンツ管理のあり方等での人権に関する諮問機関「監督理事会(Oversight Board)」の委員を発表した。同社は12月、監督理事会の設立とガバナンスのあり方を発表しており、その後委員の人選作業に入っていた。4月には監督理事会の運営についてパブリックコメントも募集した。
【参考】【アメリカ】フェイスブック、人権分野の監督理事会を独立法人として設置。SNSコンテンツの問題を判定(2019年12月18日)
同理事会は、投稿コンテンツや広告等に関する人権方針について決定を下す権限がある。監督理事会での決定は、違法行為でない限り、フェイスブックでの事業運営を拘束する。投稿コンテンツでは、人権観点からヘイトスピーチや偽情報等の対策が必要な一方、表現の自由を保護するという人権の保護も求められる。監督理事会は、それらについての判断を下す役割を担う。
今回の委員選定では、12月の発表でも示していたように、4人の共同議長をフェイスブックが選任した後、残りの委員は共同議長が委員選任の責務を負った。結果的に、合計で委員は20人が選ばれた。委員は、合計で27ヶ国での居住経験があり、29言語を操る形で、地理的なダイバーシティを担保した。
委員は、スタンフォード大学の法学教授、コロンビア大学の法学教授、ケニアの人権NGO、インド国立法科大学教授、インドネシアのジャカルタポスト記者、パキスタンの人権NGO、イエメンのノーベル平和賞受賞者、台湾の国立政治大学教授、デンマーク元首相等が選ばれた。日本人はいなかった。共同議長は、同様のプロセスで合計40人になるまで選任作業を続ける。
監督理事会の設置にあたっては、世界88ヶ国以上から2,000人以上の専門家から意見が集まった。独立性と専門性が高い監督理事会を設置したことで、今後、フェイスブックは、世界的に影響力のある人権に関する権威を内部に抱えることになる。同理事会での決定は、インターネット業界における「最高裁判所」的な役割を担っていくかもしれない。
【参照ページ】Welcoming the Oversight Board
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