Skip navigation
サステナビリティ・
ESG金融のニュース
時価総額上位100社の96%が
Sustainable Japanに登録している。その理由は?

【日本】MUFG、北極圏での石油・ガス開発、大規模水力発電を「留意事業」に指定。環境等への悪影響で

 三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は5月13日、2018年に策定した「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」を改定。オイルサンド、北極圏での石油・ガス開発、大規模水力発電を「ファイナンスに際して特に留意する事業」に指定した。7月1日から適用する。

 MUFGは、「MUFG環境・社会ポリシーフレームワーク」の中で、「ファイナンスに際して特に留意する事業」を列挙し、その中でファイナンスを自主制限または禁止するセクターや案件を明記している。

 これまでに禁止している案件は、山頂除去採掘(MTR)方式で行う炭鉱採掘事業、クラスター弾製造の2つ。また新設の石炭火力発電所は「原則として実行しない」としている。ここでの「原則として」については、「当該国のエネルギー政策・事情等を踏まえ、OECD公的輸出信用アレンジメントなどの国際的ガイドラインを参照し、他の実行可能な代替技術等を個別に検討した上で、ファイナンスを取り組む場合」があると説明している。

 その他、ファイナンスの際にリスクアセスメント等を強化する事業としては、「先住民族の地域社会へ負の影響を与える事業」「非自発的住民移転に繋がる土地収用を伴う事業」「保護価値の高い地域へ負の影響を与える事業」をセクター横断的な事業として設定。その他、新規の炭鉱開発、森林セクターでnFSC等認証取得推奨、パーム油セクターでのRSPO等認証取得推奨を盛り込んでいた。

 今回の改定では、新規のオイルサンドの開発と、北極圏(北緯66度33分以北の地域)での新規の石油・ガス採掘に対するファイナンスについては、開発地域における生態系や先住民族の地域社会への影響等を確認する。また、新規のダム壁の高さが15m以上かつ設備容量30MW以上の新規の水力発電所のダム建設でもダム建設に伴う生態系、地域社会や住民の生活環境への影響等を確認する。これらの内容は、MUFGが2005年に採択した「エクエーター原則(赤道原則)」でも求められていた内容だが、適用する案件を明確にしたことは前進と言える。また今回、プロジェクトファイナンスだけでなく、コーポレートファイナンスも対象に加えたエクエーター原則の第4版の適用も7月1日から開始することを明言した。

 オイルサンドや北極圏での石油・ガス開発は、すでに欧州の金融機関大手ではファイナンス禁止を表明するところが出てきており、その流れを汲んだものと言える。

 また今回、従来からのクラスター爆弾だけでなく、非人道兵器(核兵器、生物・化学兵器、対人地雷)の製造を資金使途とするファイナンスについても禁止事項に加えた。一方、みずほフィナンシャルグループは4月15日、石炭火力発電所の新規建設を資金使途とする投融資を全面禁止したが、MUFGは今回、「原則として実行しない」のまま据え置いた。

【参考】【日本】みずほFG、メガバンク初の石炭火力新設投融資禁止表明。MUFG、SMFGとの比較含め解説(2020年4月15日)

 MUFGは同日、2019年10月に策定した「グリーン/ソーシャル/サステナビリティボンドフレームワーク」も改定。資金使途に、新型コロナウイルス等の感染症拡大の影響を受けた中小企業及び個人事業主への融資、及び貸付資金を感染症対策に充当することを目的とする医療施設、製薬会社、医療関連機器・製品製造会社に対する融資を加えた。資金の分別管理のため三菱UFJ銀行が設立した特別基金を通じた融資及び当該融資のリファイナンスに充当する予定。同日。サステイナリティクス(Sustainalytics)からセカンドパーティ・オピニオン(SPO)も得た。

 MUFGは、2019年5月に「サステナブルファイナンス目標」を設定し、2019年度から2030年までに環境分野で8兆円、社会分野で12兆円、全体で20兆円のファイナンスを実行することを宣言しており、社会分野12兆円の一つとして、新型コロナウイルス対策への融資を位置づけた。

 資金使途に新型コロナウイルス等への対策を加えたことで、各メディアは「コロナ債」の発行という表現をで報道したが、実際には2019年から発行しているサステナビリティボンドの起債。資金使途も新型コロナウイルス等の対策だけに充当されるものではない。発行額は6月に600億円と報道されており、前回までの100億円の起債から一気に額が増える。

【参考】【インタビュー】MUFGが国内民間金融機関初のソーシャルボンド発行〜グローバル水準での資金使途設計〜(2019年12月27日)

【参照ページ】「MUFG 環境・社会ポリシーフレームワーク」の改定について
【参照ページ】グリーン/ソーシャル/サステナビリティボンドフレームワークの改定について
【参照ページ】三菱UFJフィナンシャル・グループ グリーン/ソーシャル/サステナビリティボンドフレームワーク

author image

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

この記事のタグ

Sustainable Japanの特長

Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。

  • 時価総額上位100社の96%が登録済
  • 業界第一人者が編集長
  • 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
  • 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする

※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら

"【ランキング】2019年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」"を、お気に入りから削除しました。