国際オリンピック委員会(IOC)は9月11日、スポーツ関係団体やスポーツ・イベント事業者向けのサステナビリティ・ガイドライン「Sustainability Management in Sports」を発行した。気候変動や生物多様性、経済不平等、社会的正義をスポーツ運営に統合することを推進していく。
IOCは2015年、2020年に向けた組織戦略ロードマップ「Olympic Agenda 2020」の中で、「若者」「信頼」「サステナビリティ」の3テーマをオリンピック・ムーブメントの柱に据えた。オリンピック・ムーブメントとは、「スポーツを通してこころとからだを健全にし、さらには文化・国籍といったさまざまな違いを超え、友情や連帯感、フェアプレーの精神をもって互いを理解し合うことで、平和でよりよい世界の実現に貢献する」というオリンピックの精神を広げていく運動のことで、IOC、各国のオリンピック委員会(NOC)、各競技の国際連盟(IF)の3つを担い手と定めている。
その後IOCは2016年に、組織運営及び大会運営に適用する「Sustainability Strategy」を策定。その中で、気候変動、労働、モビリティ、調達と資源管理、インフラと自然の5分野で取組事項を定めた。そして今回、NOCとIFを主な対象とし、スポーツ運営における具体的なサステナビリティ・ガイドラインを設定した。
同ガイドラインでは、組織としてサステナビリティにコミットすることから始まり、優先事項(マテリアリティ)と目標の設定、実践、レビューと情報開示というPDCAを規定。また全体のレベルを上げるための観点として、合理性、ガバナンス、エンゲージメント、透明性の4つでもアクションを求めた。これらは、企業におけるサステナビリティ経営の内容と近似している。
考慮対象となる候補としては、気候変動、エネルギー、廃棄物、水資源、生物多様性、公衆衛生、環境汚染、騒音・悪臭、放射性廃棄物、労働安全・衛生、動物福祉、ダイバーシティ、消費者保護、人権、腐敗防止、情報アクセス等多岐にわたる。
今後、NOCやIFでは、サステナビリティ戦略の設定が具体的に進められる見込み。
【参照ページ】NEW IOC GUIDE TO MAKE SUSTAINABILITY “BUSINESS AS USUAL” FOR THE OLYMPIC MOVEMENT
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