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【EU・中国】双方、EU・中国包括的投資協定(CAI)の重要原則で合意。人権・気候変動規制強化も

 EUのシャルル・ミシェル欧州理事会議長(EU大統領)及びウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長と、中国の習近平・国家主席は12月30日、オンライン会合を開催し、EU・中国包括的投資協定(CAI)の重要原則で合意した。EU理事会議長国の独アンゲラ・メルケル首相と、フランスのエマニュエル・マクロン大統領も同席した。

 CAIは、EUにとって中国市場をEU向けに開放させるために2013年に開始した交渉。2019年4月に開催されたEU・中国サミットで、2020年末までにCAIに向けた交渉を妥結することを目標として掲げ、特にドイツとフランスが合意に向け積極的に動いていた。中国にとっては、日中韓など15カ国が加盟した「地域的な包括的経済連携協定(RCEP)」に続き、自由貿易や投資促進に向けた政策課題をまた一つ成功させた。

 今回の協定は、EU加盟国から中国への市場アクセスを確保する狙いがある。EUは、中国に対し市場を開放してきた一方、中国はEUに対し市場開放を制限してきたと考えている。そのため交渉では、中国政府が課してきた数量制限、出資規制、強制的な合弁会社設立を撤廃することに主眼を置いてきた。今回の合意では、中国に対し、中国市場へのアクセスの制限撤廃の保証、EU企業が主要産業で会社設立・企業買収することの容認を勝ち取ったという。

 狙いのもう一つは、レベル・プレイング・フィールドの確保。EUは、規制の緩い中国の企業とEU企業は公平な競争ができていないと考えており、今回の交渉では市場の公平性の確保も重要な論点となった。同合意では、国際労働機関(ILO)が掲げる原則の遵守、中国が批准したILO諸条約の実効性のある履行、中国批准していない強制労働に関するILO29号条約とILO105号条約の批准に向けた協働、パリ協定の実効性のある履行を中国に対して認めさせた。中国政府が、投資協定において、持続可能な開発の重視をコミットしたのは今回が初。

 レベル・プレイング・フィールドでは、中国の国営企業の中国政府の国内補助金でも取り決めがなされた。まず中国国営企業に対しては、政治的判断ではなく純粋に商業的判断で事業を行い、調達においてもEU企業を排除しないことを確約させた。また、サービス産業に対する補助金でも、透明性を確保し、EUと投資権益を害する場合は事前にEUと協議することも約束させた。

 中国に関し悪評の高い強制的な技術移転についても、技術移転を中国域内への投資の条件として課すことを禁止することや、技術ライセンスに関する国会介入の禁止、企業機密の保護を中国政府に約束させた。

 欧州委員会は、まだEU理事会から、中国との投資協定の締結を授権されていない。EUは、フランスがEU理事会議長国となる2022年に、EU・中国包括的投資協定(CAI)を締結し、その中で投資保護ルールを確立することを視野に入れている。投資保護ルールでは、EUは、国連国際商取引法委員会(UNCITRAL)での多国間投資裁判所の創設に向けた議論も主導しており、中国に対しても国際的な投資保護ルールの実施を求めていく。

【参照ページ】EU and China reach agreement in principle on investment
【参照ページ】EU-China Comprehensive Agreement on Investment
【参照ページ】Key elements of the EU-China Comprehensive Agreement on Investment
【参照ページ】EU-China Leaders’ meeting: Delivering results by standing firm on EU interests and values

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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