private 【国際】人権NGO、自動車のアルミ・サプライチェーン人権問題でASI批判。ASIは協調呼びかけ 2021/08/10 最新ニュース

 国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)とインクルーシブ・デベロップメント・インターナショナル(IDI)は7月22日、自動車業界のアルミニウム・サプライチェーンでの人権問題について、ギニア、ガーナ、ブラジル、中国、マレーシア、オーストラリア等のボーキサイト生産国と、自動車大手9社の状況を分析した報告書を発表した。

 同レポートの対象となったのは、BMW、ダイムラー、フォード、GM、Groupe PSA(現ステランティス)、ルノー、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、ボルボ・カーズ。9社には調査票が送られ、回答した。一方、現代自動車、BYD、テスラの3社は回答しなかった。調査では、ボーキサイト生産やアルミニウム精錬での水源破壊や農地破壊での現地コミュニティへの影響だけでなく、二酸化炭素排出量による人権影響にまで分析範囲は及んだ。

 同報告書では、自動車大手の中には、アルミニウム・サプライチェーンでの人権確保に言及し始めた企業があることに一定の評価を下した。また、BMW、ダイムラー、フォード、トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、ボルボ・カーズ等11社は5月、人権イニシアチブ「Drive Sustainability」を発足し、アルミニウム等9つの原材料に内在する人権リスクを評価するプロジェクトを開始したことにも理解を示した。

 その一方、生産国での悪影響が続いていることから、現状の対策が極めて不十分と酷評。また、BMW、ダイムラー、アウディの3社は、持続可能なアルミニウム推進国際イニシアチブのアルミニウム・スチュワードシップ・イニシアチブ(ASI)が運営する「ASI認証」を取得するようサプライヤーにもとめているものの、ASI認証の人権基準は不明瞭で、具体性に欠けると批判した。さらに、ASIの監査プロセスで、地域コミュニティを参画させ、透明性を高めるべきとした。

 これに対し、ASIは同日、声明を発表。同NGOが主張しているサプライチェーン・デューデリジェンスで全てのステークホルダーが重要な役割を果たしていることに賛同しつつも、2017年の初版を発行したASI認証が信頼性を欠くとした姿勢には反発した。ASI基準が「業界主導」とされたことに関しても、業界主導ではなく、地域コミュニティも含めたマルチステークホルダー型で基準が策定されていることを強く強調。2022年5月に終了予定の現在の改訂作業でも、パブリックコメントを募集した上で、人権基準の引き上げに動いていることも伝えた。また、議事録等も公表しており、透明性は十分に高いとも応えた。

 ASIは、世界で唯一先住民族が所有・運営するボーキサイト鉱山グルクラ・マイニングも、ASI認証加盟機関であると言及。先住民諮問フォーラム(IPAF)を通じて、認証以外のコミュニティ活動も実施していることにも触れた。ASIは、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)とインクルーシブ・デベロップメント・インターナショナル(IDI)に対し、ASIやASI加盟機関を攻撃するのではなく、協調するようメッセージを発した。

【参照ページ】Abuses in Aluminum Supply Chains a Blind Spot for Car Industry
【参照ページ】The Aluminium Stewardship Initiative (ASI) program and action on human rights

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