国連人権理事会の「多国籍企業や他の企業と人権に関する無制約の政府間ワーキンググループ(OEIGWG)」は8月17日、企業等に国際人権法遵守を義務付ける条約作成作業の中で、第3次草案を提示した。
同条約は、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGP)を含む国際人権ルールに法的拘束力をもたせる国際ルールとして整備作業が続けられている。OEIGWGは2014年に設立され、今回が6回目の会合。10月には政府間交渉が予定されている。
同条約は、企業を対象にしているが、今回の第3次草案に、金融機関と投資ファンドも対象として明記された。パナマ政府からの提案だったが、背景には、現在立法作業がEUで続けられているEUのサステナブル・コーポレートガバナンス指令があるとみられている。
同条約は、対象企業として、国有企業、金融機関、投資ファンド、多国籍企業、事業会社、合弁会社、その他の事業体としており、あらゆる事業者をカバーしている。さらに同条約は、とりわけ多国籍企業に対するルール徹底を規定しており、グローバル企業の定義としては、「複数の法域または国で事業展開」としているが、事業展開1国のみだとしても「子会社、代理店、サプライヤー、合弁会社、受益者所有権等による準備、計画、指揮、管理、設計、加工、製造、保管、流通の大部分が他の国や法域での取引を通じて行われる場合」または「他の国または管轄区域で重要な影響を及ぼしている場合」も同様に多国籍企業として扱われる。
また人権の定義としては、国際的に認識されている人権や基本的自由一般とされており、安全、清潔、健康、持続可能な環境に対する権利も含まれる。
遵守義務としては、被害者権利の保護、被害者の保護、法的責任、救済へのアクセスの確保を締約国政府に義務化。さらに国内に位置している多国籍企業に対し、人権デューデリジェンス等を通じた人権侵害防止の徹底を政府が義務化することも定めている。人権デューデリジェンスの対象は、基本的人権、労働権、事業全体での環境・気候変動のインパクトアセスメントまでも盛り込んでいる。ジェンダーや先住民族の観点も入っている。
【参照ページ】OEIGWG CHAIRMANSHIP THIRD REVISED DRAFT 17.08.2021
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