米ジョー・バイデン大統領とASEAN首脳は5月12日から13日、米ワシントンDCで米ASEAN特別首脳会議を開催。共同ビジョン声明を発表した。
今回の声明では、2022年11月の第10回ASEAN・米国首脳会議で合意した、有意義、実質的、相互有益な「ASEAN・米国包括的戦略パートナーシップ」を確立することを再確認し、必要なプロセスの早期完了を期待するとした。その上で、健康安全保障、経済関係の深化、海洋協力の促進、人と人のつながり強化、地域開発支援、テクノロジー・イノベーション、気候変動、平和・信頼の各項目でのアクションを掲げた。
まず、健康安全保障では、新型コロナウイルス・パンデミックの予防、準備、対応への資金支援強化で一致。また、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)、特にプライマリー・ヘルスケアと、重要保健サービスへのアクセス、保健人材の増加・育成を通じた保健システムへの投資と強化にコミットする。
経済関係の深化では、人権と環境を提唱。国際労働基準と環境保護を満たす包括的で持続可能な成長を促進。高い基準を満たし、透明な低炭素・気候変動レジリエンスのインフラプロジェクトへの投資を促進するとした。さらに、医療用品、医薬品、ワクチン、食料・農産物、商品、ハイテク製品等の不可欠な製品やサービスで、レジリエンスを確保するため、グローバル・サプライチェーンとシームレスな地域接続を促進していく。サイバーセキュリティ能力の向上、デジタル・リテラシーとインクルージョンの促進等も盛り込んだ。
海洋協力の促進では、海洋領域での捜索・救助、海上保安、違法・無報告・無規制(IUU)漁業の抑制を掲げた。また、国連海洋法条約に記載された航行及び飛行の自由、合法的海洋の利用、合法的海洋通商、非軍事化等も謳った。
人と人のつながり強化では、英語、デジタルスキル、技術・職業教育訓練(TVET)、科学・技術・工学・数学(STEM)教育への支援にコミット。企業や大学等との連携も拡大する。女性、子供、障害者のエンパワーメントも重視する。
地域開発支援では、スマート製造、ブロックチェーン・アプリケーション、貿易円滑化、デジタル・コネクティビティ、中小企業のデジタル化・Eコマース、電子サービス、デジタル金融サービス、地域決済接続等を挙げ、新しい技術が相互に利益をもたらす形で進めるとした。エネルギー転換、輸送、環境保護、地域資源管理、水マネジメントも盛り込んだ。バイオテクノロジー、精密農業と気候スマート農業(CSA)の双方でのスマート農業、食品科学、気象学、マイクロエレクトロニクス、海洋科学、エネルギー、宇宙での協力強化にもコミットした。
気候変動では、気候変動緩和では、ASEANでのエネルギー転換の加速とエネルギー・レジリエンスの強化を目指すASEANを米国が支援することを確認。特に、再生可能エネルギー、ブレンデッドファイナンスでの資金供給、エネルギーアクセスとエネルギー安全保障を支えるエネルギー技術開発を挙げた。さらに、自然資本観点でも、森林減少や生態系の劣化の防止・阻止・回復、森林や湿地、沿岸・海洋生態系を含む重要な生態系の回復、ASEANの豊かな生物多様性と自然資本の保全のための協力も打ち出した。
気候変動適応では、海面上昇、洪水の頻度増加、旱魃、異常気象、水・エネルギー・食料不安のリスクの増大、破壊的な暴風等の気候変動影響に適応する能力を強化するために、パートナーシップを強化するとした。
平和と信頼では、ASEANの非核化努力を支持。化学兵器禁止条約と生物兵器禁止条約の完全実施も支持した。朝鮮半島の完全な非核化も再確認。ミャンマーに関しては、暴力の即時停止及び外国人を含む全ての政治的抑留者の解放を引き続き求めるとともに、2021年4月24日のASEAN首脳会議で掲げられた「ASEANコンセンサス5項目」に対するミャンマーのコミットメントを強調し、5項目のコンセンサスの適時かつ完全な実施を強く求めた。ウクライナに関しては、主権、政治的独立、領土の一体性の尊重を再確認した。
【参照ページ】ASEAN-U.S. Special Summit 2022, Joint Vision Statement
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