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【アメリカ・韓国】バイデン大統領、インド太平洋経済枠組み(IPEF)でESG強化への韓国取込みに成功

 米ジョー・バイデン大統領と韓国の尹淑烈(ユン・ソクヨル)大統領は5月21日、韓国で首脳会談を開催。バイデン大統領にとって就任後初のアジア訪問となった。会談後に共同声明を発表。安全保障と、2国間の経済関係の深化、バイデン大統領が主導する「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の3つが大きなテーマとなった。

 安全保障では、両首脳は、朝鮮半島の完全な非核化という共通の目標を改めて表明。北朝鮮の脅威拡大を考慮し、統合軍事演習及び訓練の範囲及び規模を拡大するための議論を開始することで合意。米国が必要に応じて米軍を適時かつ協調的に配備することも双方で一致。国家主導のサイバー攻撃への対策でも協力関係を大幅に拡大することも確認した。北朝鮮に対しては、平和的・外交的解決に向けた対話の道が残されていることを強調し、交渉への復帰を呼びかけた。

 戦略的な経済・技術パートナーシップでは、経済・エネルギー安全保障での協力の深化を標榜。さらに、「米韓の科学者、研究者、技術者が世界で最も革新的」と称え合い、双方の比較優位を活用した上で、半導体、EVバッテリー、AI、量子コンピューティング、バイオテクノロジー、バイオ製造、自律型ロボット等の重要技術や新興技術を保護・促進するための官民協力を強化することで合意した。

 特にサプライチェーンでは、米国主導のグローバル・サプライチェーン・レジリエンス・サミットで醸成された国際協力を基盤とし、サプライチェーンのエコシステムにおける緊急及び長期的課題に対処することで協力。潜在的なサプライチェーンのディスラプションを検知する早期警戒システムに関する協力や、重要鉱物の調達及び加工に対処するための協力等でもレジリエンスを強化する。半導体、バッテリー、重要鉱物等の主要製品では、サプライチェーンに関する定期的な閣僚級会合を開催することでも一致した。

 エネルギー分野では、化石燃料の低減を提言することを確認。再生可能エネルギーとともに、原子力発電の重要性を確認した上で、先進的原子炉及び小型モジュール炉(SMR)の開発を促進することでも協力する。また、化石燃料と濃縮ウラン等のサプライチェーン確保でも協力する。文在寅前大統領時代には、脱原発を掲げていたが、尹淑烈大統領は、原子力発電重視の姿勢を明らかにした。

 宇宙分野でも、韓米同盟の強化を確認。両大統領は、韓国のアルテミス計画への参加を踏まえ、宇宙探査の共同研究を促進し、韓国の韓国測位システム(KPS)開発を支援することで合意。また、年内に「第3回米韓民間宇宙対話」を開催し、両国の宇宙産業に関する協力を強化することでも合意した。

 グローバルな協力関係では、バイデン大統領は、インド太平洋経済枠組み(IPEF)への参加を呼びかけ、会談後に韓国政府はIPEFへの参加を正式表明した。IPEFでは、デジタル経済、サプライチェーン、クリーンエネルギー、持続可能な経済成長の促進に向けた優先課題に関する経済的関与を深める包括的な政策をミッションとしている。

 IPEFは、政治的価値観と経済的なサステナビリティが融合する姿となっている。今回の共同声明でも、両大統領は、民主主義と、ルールに基づく国際秩序の促進、腐敗との戦い、人権の推進を共通の価値観として掲げ、グローバルな包括的戦略同盟という概念を打ち出している。これにより、中国やロシアとの対抗を鮮明にしている。尹淑烈政権は、文在寅前政権と比べ、外交スタンスが、中国寄りから米国寄りにシフトするとみられている。

 また、IPEFでも主要テーマとなる気候変動と感染症対策では、まず、パリ協定とグローバル・メタン・プレッジの重要性を再確認し、水素、クリーン船舶、ゼロエミッション車(ZEV)の加速的展開を支持。世界の2050年カーボンニュートラルと2020年代の大幅削減のための国際資金フロー調整等の協力強化でも一致した。感染症対策では、韓国が今秋にグローバル健康安全保障に関する閣僚級懐疑を開催し、ソウル市に健康安全保障のための国際事務所を設立することをバイデン大統領が歓迎した。

 デジタル化経済では、両大統領は、開かれた、自由で、グローバルで、相互運用性、信頼性、安全性の高いインターネットの未来を支持。米政府が提唱する「未来のインターネットに関する宣言」を韓国政府が支持する用意があると表明した。また、両国は、「ジェンダーに基づくオンライン・ハラスメントと虐待に関する行動のためのグローバル・パートナーシップ」に創設メンバーとして参加。Open-RANアプローチを用いたオープンで透明かつ安全な5Gおよび6Gネットワーク機器とアーキテクチャの開発に国内外で協力することにもコミットした。サイバーセキュリティの強化も確認した。

【参考】【国際】60カ国・地域、「未来のインターネットに関する宣言」発表。民主主義、基本的自由、人権(2022年5月3日)

 バイデン大統領は5月20日、サムスン電子の平沢キャンパスも視察。同キャンパスは、同社がテキサス州テイラーに建設中の新工場のモデルとなっており、バイデン大統領のサムスン電子への期待がうかがえる。

【参照ページ】United States-Republic of Korea Leaders’ Joint Statement
【参照ページ】FACT SHEET: In First Stop on Asia Travel, President Biden Tours Model for Samsung’s New Texas Semiconductor Facility

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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