米カリフォルニア州大気資源局(CARB)は5月10日、2045年カーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)に向けた計画案を発表した。パブリックコメントを募集する。
今回の計画改定は、同州にとって2008年以降3回目となる。同州は、2030年目標として1990年比40%も掲げており、実現可能な施策から早急に展開していく。
今回の計画では、自動車・バンの新車販売では2035年までに、中型車両は2040年までに、全てゼロエミッション車両に転換。航空機では、2045年までに電化や水素燃料への転換で燃料需要を10%削減し、残りは持続可能な航空燃料(SAF)に転換。船舶では、2027年までに入港後の陸上供給電力へエネルギーを転換しつつ、2045年までに燃料電池エネルギー割合を25%にまで高める。荷物移動車両・設備は2037年までにゼロエミッション化、運送トレーラーも2035年までにゼロエミッション化する。ローカル鉄道車両は2030年までに、長距離鉄道車両は2035年までにゼロエミッション化する。バイオ燃料供給も増やす。
また、石油・ガス採掘は2045年までに全面禁止。石油化学プラントには2030年までに炭素回収・貯留(CCS)設備を導入する。発電からの二酸化炭素排出量は2030年に3,800万t、2045年に3,000万tにまで削減。ガスでは、再生可能ガスの混合割合を2040年までに7%にまで増やす。石油・ガスでのメタン漏出は、2030年までに50%削減。
住宅設備では、オール電化を、新築住宅では2026年、新築商業不動産では2029年までに実現。既存の住宅・不動産では、オール電化を2030年までに住宅・商業不動産で80%、さらに2035年までに住宅で、2045年までに商業不動産で100%達成する。ノンフロンへの転換も進める。
農業では、エネルギーの電化を2030年までに25%、2045年までに75%達成。食品では、エネルギーの電化を2030年までに7.5%、2045年までに75%達成。建設でも同様に電化を2030年までに25%、2045年までに75%にまで引き上げる。畜産では、排泄物からのメタンガス削減にも着手。腸内施策を2030年までに展開する。有機廃棄物も2025年までに70%削減する。
化学では、ボイラーの電化を2045年までに達成。熱源では、水素割合を2035年に25%、2045年までに100%。ガラス・セメントでは、CCS導入比率を2035年までに40%、2045年までに100%。その他の製造業では、2045年までに電化比率を50%とした。コンバインドサイクル発電(熱電併給)は2040年までに全廃する。
吸収策では、自然保護区と海洋保護区を州域の30%確保の他、植林・森林再生、草原、湿地等のマネジメントを強化し、固定量を増加。農地では、気候スマート農業を毎年5万エーカー拡大する。
今回の計画案は、同州の環境正義諮問委員会からの提言を踏まえたもの。計画立案過程では、合計で4つのシナリオを検討し、技術及び経済の観点からシナリオを選択した。
【参照ページ】CARB releases ambitious draft climate action plan to slash use of fossil fuels and reach carbon neutrality by 2045
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