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【日本・アメリカ】日米首脳会談、安全保障とサステナビリティの2つで合意。気候変動・人権も

 岸田文雄首相と訪日中の米ジョー・バイデン大統領は5月23日、首脳会談を実施。共同声明を発表した。「安全保障」「レジリエント、サステナブル、インクルーシブな経済成長」「地球規模課題・人間の安全保障」の大きく3つの分野で合意した。

 今回の声明では、日本と米国は、共通の価値観があり、民主主義と法の支配に対する共通のコミットメントを有する国と強調。ロシアのウクライナ戦争を「侵略」と認識することで一致し非難。アジア地域では、「自由で開かれたインド太平洋地域」という共通のビジョンを再確認し、岸田首相は、「今回のバイデン大統領の訪日は、米国がいかなる状況にあってもインド太平洋地域にコミットし続けることを示すものであり、心から歓迎する」と述べた。

 中国に対しては、ウクライナにおけるロシアの行動を明確に非難するよう要求。中国が、強制労働を含め、国際的なルールに基づく秩序と矛盾する行動を継続しているとの考えで意見交換した。中国の核戦力の増強にも留意し、中国に対し、核リスクの低減、透明性の向上、核軍縮を推進するよう要請した。中国による一方的な現状変更にも反対し、南シナ海での中国の不法な海洋権益の主張、埋立地の軍事化、強制的な活動にも強く反対した。また台湾にも言及。両国は、台湾に関する基本的な立場に変わりはなく、台湾海峡の平和と安定が国際社会の安全と繁栄に欠くことのできない要素であることをあらためて強調した。香港の動向と新疆ウイグル自治区での人権問題にも懸念を表明した。

 北朝鮮に関しては、両首脳は、最近のICBM発射を含む北朝鮮の核及びミサイル開発の進行を非難。国連安保理決議に沿った朝鮮半島の完全な非核化を再確認し、北朝鮮に対し,同決議に基づく義務を遵守するよう求めた。拉致問題の即時解決に向けた米国のコミットメントも再確認した。

 ミャンマーに関しては、クーデター及びミャンマー軍による市民に対する残虐な攻撃を非難。暴力の即時停止、不当に拘束されている人々の解放、国全体における自由な人道的アクセス、速やかな民主化への復帰を求めていくことを確認した。

 日本の防衛に関しては、米国の沿岸警備隊と日本の沿岸警備隊との間の協力に関する覚書の附属書に署名したことを歓迎。普天間基地の継続使用を回避する唯一の解決策として、辺野古に普天間代替施設を建設すること、馬毛島に米空母艦載機陸上離着陸訓練(FCLP)施設を建設すること、沖縄からグアムへの米海兵隊部隊の移転を含む在日米軍再編を着実に実施することを確認した。

 2つ目の柱であるレジリエント、サステナブル、インクルーシブな経済成長では、次世代半導体の開発を検討するための合同タスクフォースを設置することで合意。サプライチェーンでの人権尊重では、企業のために予見可能性を高めるための環境を醸成するで協力する。重要鉱物のサプライチェーンでは、ESGの基準を向上していくことで合意した。輸入石油への依存を低減するため、持続可能な航空燃料(SAF)や自動車燃料でバイオエタノール需要を2030年までに倍増させるためにあらゆる手段を講じるとの日本のコミットメントを歓迎。一方、岸田首相は、石油および天然ガスの増産に向けた米国の産業界による投資を歓迎した。

 地球規模課題・人間の安全保障では、両首脳は、2020年代を気候変動対策の決定的な10年とすることを約束。野心的な2030年の国別削減目標と2050年カーボンニュートラル目標を実施するで、長期的なエネルギー安全保障に対処するとした。また、米韓首脳会談と同様に、日米首脳は、原子力の重要性を認識。原子力エネルギー協力を拡大し,輸出促進及び能力強化の手段を共同で用いることにより,改良型及び小型モジュール原子炉(SMR)の開発及び世界への展開を加速させることにコミットした。

【参考】【アメリカ・韓国】バイデン大統領、インド太平洋経済枠組み(IPEF)でESG強化への韓国取込みに成功(2022年5月22日)

 ジェンダー平等に関しても、これまで以上に重要になったと認識。性自認にかかわらず、すべての人々がその可能性を最大限に発揮できるようにすることは、道徳的かつ戦略的に必須であり、社会と経済のあらゆる側面にとって極めて重要との考えで一致した。

 他にも、新型コロナウイルス・パンデミック収束と将来のパンデミック予防・対応に向けた協力を継続することを確認。ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向け、WHOの改革、世界銀行における新たなパンデミック対策、グローバルヘルス・セキュリティ基金の設立、財政当局と保健当局間の調整体制の強化等、グローバル・ヘルス・アーキテクチャを強化する必要性も確認した。

 また会談後の日米首脳の合同記者会見では、バイデン大統領に対し、記者から「もし台湾を守るために軍事的な関与が必要になった場合、あなたは喜んでそうするのか?」との問いに対し、バイデン大統領が「Yes」と答えたことも注目を集めた。その後、バイデン大統領は、「我々は一つの中国政策に同意し、それに署名し、そこから作られたすべての付随協定に署名している。しかし、中国を武力で奪えるという考え方は、適切ではない。そうすれば、地域全体を混乱させ、ウクライナで起きたのと同じようなことが起きるかもしれない。負担はさらに重くなる」と答え、そのまま記者会見は終了した。

【参照ページ】Japan-U.S. Joint Leaders’ Statement: Strengthening the Free and Open International Order
【参照ページ】日米首脳会談
【参照ページ】Remarks by President Biden and Prime Minister Fumio Kishida of Japan in Joint Press Conference

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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