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【国際】国連、ISSBのサステナビリティ開示基準案に改善要請。20年の長期視点での開示等

 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)、国連開発計画(UNDP)、国連貿易開発会議(UNCTAD)、国連資本開発基金(UNCDF)、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、国連経済社会局(DESA)、国連地域委員会は6月29日、IFRS財団の国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)の新しい基準に関する協議に対して共同声明を発表した。

 今回の発表は、ISSBが実施しているパブリックコメントでの意見提出。ISSBの基準により多くの機会を提供していると評価しつつ、その機会を十分に活かしきれない可能性があると指摘。今後の基準検討に含めるべき観点の提言と、発展途上国の開示キャパシティを支援するビジョンを求めた。

 まず、ISSBが策定している基準は、サステナビリティに関する情報開示のグローバルな集約を支援し、共通の報告基準を定義し、ビジネス戦略やマネジメントの中にサステナビリティの観点を組み込むための支援をしていると評価。ユニークな機会を提供しているとした。

 一方で、この機会が十分に活かされないリスクがあると指摘。企業価値とそれに影響を与える要因の解釈が不十分だった場合、ISSB基準が重要なサステナビリティの機会を逃しリスクを高める可能性があること、そして、報告企業により選択的な開示を引き起こす可能性があるとした。

 このリスクに対応するために、大きく3つの提言をした。

 1つ目は、企業の評価観点に、現在の変化やメガトレンドに対応する能力、将来的に財務的な問題に発生する可能性のあるサステナビリティに関するリスクと機会を考慮することができる能力を含めること。

 現在のIFRSの「一貫性と柔軟性を確保するためのビルディング・ブロックス・アプローチ」はサステナビリティの問題を的確に分離し、投資家にとって何が重要なのか、そうでないのかを容易に判断することができる。しかし、実際には、サステナビリティの課題は相互に深く関連しており、総合的な判断が必要だとした。

 新型コロナウイルス・パンデミック、「#MeToo」キャンペーン、ロシアによるウクライナ侵攻、気候変動関連の災害など、財務的に緊急度が高いものには見えない事象であっても物事は素早く、予測不可能に変化すると伝えた。

 リスクが顕在化すると政府による規制措置が実施され、企業価値に影響を与える可能性がある。つまり、企業を評価する際には、現在の変化やメガトレンドに対応する能力、将来的に財務的な問題に発生する可能性のあるサステナビリティに関するリスクと機会を考慮することができる能力を推し量ることが重要とした。

 2つ目は、グローバルに統一されたセクターを問わないコア指標の設定。

 現行のISSBの基準案では、報告する企業の企業価値において重要だと考えるものについて、開示する責務を負っている。同じ業種の企業でも、異なるサステナビリティのテーマについて報告するなど、選択的な情報開示につながる可能性があり、投資家の判断材料に必要なすべての情報にアクセスできなくなる危険性があると指摘。

 グローバルな基準を作るために、ISSBの基準は、すべての企業がグローバルに統一されたセクターを問わないコア指標のリストを報告することを最低限要求し、追加で業界特有の指標で補完することを提案した。

 最後に、複数の考慮事項を提言した。

  • サステナビリティの分析と管理に関する明確なガイダンスの作成
  • 科学的根拠に基づくサステナビリティの目標設定と長期的にパフォーマンスを向上させる計画策定の奨励。民間セクターにより支持されているSDGsに沿った目標設定を含める考え方を示した
  • 地理的な条件を含めた情報開示。複数の国にまたがる事業やサプライチェーンを考慮し、財務情報に反映する必要があるが、分析するコンテキストが様々であるため、明確な基準と標準化が必要とした
  • 報告企業に対し、十分長期的な時間軸(20年以上)の明確な採用

 また、基準に対応していくにあたり、途上国のキャパシティとニーズの支援計画のビジョンの提示を求めた。特に、「途上国がISSB基準を満たすための時間を与える」「開発の観点からトランジションを実現する道筋を考慮する」「ISSB基準が途上国企業を資本市場へのアクセスから排除したり、報告の負荷により資本市場へのアクセスをしにくくするリスクを回避する」など途上国を負の波及効果から守る必要性を指摘した。

【参照ページ】UN RESPONDS TO THE ISSB CONSULTATION ON NEW STANDARDS WITH JOINT STATEMENT

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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