デンマーク洋上風力発電機製造大手ヴェスタスは、洋上風力発電タービンの日本での生産計画を中止。また、独シーメンス・ガメサ・リニューアブル・エナジーも、洋上風力発電機を日本の電力会社に供給する方針を撤回した。日本経済新聞が7月15日、報じた。日本の洋上風力発電開発への悪影響が懸念されている。
今回の決定の背景には、経済産業省資源エネルギー庁と国土交通省の合同委員会で、「複数区域同時公募時の落札制限案」が提示されたことが関係している模様。洋上風力発電開発では、経済産業省と国土交通省は2021年12月に発表した「秋田県能代市、三種町及び男鹿市沖」「秋田県由利本荘市沖」「千葉県銚子市沖」の3海域で、全て三菱商事エナジーソリューションズを中核したコンソーシアムが公募受注。しかし、1社独占への反発が各方面から上がり、制度設計の見直しが図られていた。
そこで合同委員会は6月23日、「複数区域同時公募時の落札制限案」を掲げ、一定規模の複数区域について公募する場合、公募参加者の1者あたりの落札制限として、1GWの基準を設ける等の案を提示。これにより、開発事業者が大幅に分散される見通しとなった。
【参考】【日本】三菱商事のコンソーシアム、選定された洋上風力プロジェクトで地域等への考え方表明(2022年2月28日)
しかし、そのことにより、両社は今回、日本での開発は想定通りに進まず、大規模な受注が見込めなくなると判断した模様。日本市場を有望と見ていたが、考えをあらためたという。日本国内に製造拠点を設け、大量生産するより、日本に輸出する方針へと転ずる。
(出所)経済産業省
資源エネルギー庁と国土交通省の合同会議では、「効率的なサプライチェーン形成の阻害とならないよう一定の規模を確保する」観点から過渡な受注制限は避け、最終的に1GWの基準としたという。しかし、最終的に国内でのサプライチェーン形成が大幅に阻害される様相を帯びてきた。
[2022.7.18追記]
ヴェスタス子会社のベスタス・ジャパンとMHIベスタスジャパンは7月15日、ホームページ上で声明を発表。「ベスタスは日本市場において、これまでと変わることなく、再生可能エネルギーの普及に貢献するべく精力的に取り組んでまいります」と延べ、日本経済新聞に厳重に抗議及び、記事の修正または削除を要請するとした。
【参照ページ】総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会再生可能エネルギー大量導入・次世代電力ネットワーク小委員会洋上風力促進ワーキンググループ 交通政策審議会港湾分科会環境部会洋上風力促進小委員会 合同会議(第14回)
【参照ページ】本日の日本経済新聞電子版の記事について
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