紙・パルプ・エネルギー関連の技術・サービスを提供するバルメットは7月7日、製造過程で排出される黒液からリグニンを抽出するLignoBoostプラントサービスを、パルプ製造世界大手マーサーの独テューリンゲン州にあるパルプ工場に提供すると発表した。
今回の発表は、マーサーがリグニンをバイオマスエネルギー以外に活用する研究のために導入されたもの。既存の工場にモジュール単位で導入され、広葉樹、針葉樹のリグニンを完全自動で抽出可能。リグニンは、植物の細胞壁に含まれる複雑な構造をした高分子で基本的に非可食部。バイオマス素材として有効活用が期待されている原料。
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また、スウェーデンのリグニンに関するスタートアップ企業リグニン・インダストリーズも今春、EUイノベーション基金から440万ユーロ(約6億円)の助成金を獲得している。助成金は、スウェーデンにある大規模工場建設に活用され、完成すると年間1万tの原料を製造できるようにする。将来的には最大5万tにする計画。
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同社の特許取得済の技術は、リグニンからバイオコンポジットを生産し、包装用プラスチックやフィルムに利用可能にするもの。従来の化石燃料を原料としたプラスチックより、二酸化炭素排出量を70%以上削減することが可能。
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