経済産業省は8月31日、「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」と「価値協創ガイダンス2.0」を公表した。伊藤レポートでは2014年の1.0では、稼ぐ力にのみ焦点を当て、2017年の2.0では非財務情報も視座に加えた。今回の3.0では、ようやく積極的なサステナビリティ・トランスフォーメーションの実践を盛り込んだ形。
【参考】【日本】経産省、「伊藤レポート2.0」公表。ROE向上に向け無形資産や非財務情報に重点(2017年11月6日)
今回の伊藤レポート3.0は、経済産業省が2021年5月に立ち上げたSX研究会で8回の議論を得てまとめられたもの。またSX研究会の議論を踏まえ、2021年11月には「価値協創ガイダンスの改訂に向けたワーキング・グループ」も立ち上げ、価値協創ガイダンスも改訂作業も進めていた。
伊藤レポート3.0では、3つの重要アクションとして「社会のサステナビリティを踏まえた目指す姿の明確化」「目指す姿に基づく長期価値創造を実現するための戦略の構築」「長期価値創造を実効的に推進するためのKPI・ガバナンスと実質的な対話を通じたさらなる磨き上げ」を掲げた。バリューチェーン全体やインベストメントチェーン全体での視点を強調した。
価値協創ガイダンス2.0では、「長期戦略」の項目が新設。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が提唱する「ガバナンス」「戦略」「リスク管理」「指標と目標」の開示構造との整合性も確保した。さらに、「実行戦略」の項目で人的資本の観点を強調。さらに「実質的な対話・エンゲージメント」の項目を新設した。
伊藤レポートは、1.0の2014年から8年を経て、ようやく国際的な水準に追いついてきたと言える。
【参照ページ】「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」・「価値協創ガイダンス2.0」を取りまとめました
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