2050年までの運用ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットするアセットオーナーのイニシアチブ「Net-Zero Asset Owner Alliance(NZAOA)」は9月20日、2回目の進捗報告書を公表した。過去1年間に新たに新規加盟機関44機関が短期目標を設定したことがわかった。
【参考】【国際】Net-Zero Asset Owner Alliance、初の進捗レポート発行。2025年までにCO2を25-30%削減(2021年10月22日)
NZAOAの現在の加盟機関は74で、2019年の発足時から6倍にまで伸長した。運用資産の総額は10.6兆米ドル(約1,500兆円)。加盟機関は加盟後12ヶ月以内に中間目標を設定することが義務付けられており、今回44機関が短期目標を設定。そのうち、気候変動関する政府間パネル(IPCC)の「オーバーシュートなし」または「期限付き」シナリオに沿った目標を設定していた機関の運用資産総額が、全体に3分の2に相当する7.1兆米ドルに達した。
また、加盟機関には、投資先へのエンゲージメント、ポートフォリオ単位の削減目標設定、セクター別の削減目標設定、気候ソリューションへの投資拡大の4つの3つ以上で目標を設定することも義務付けられている。投資先企業へのエンゲージメントの成果では、科学的根拠に基づく目標を設定した企業が、2021年の35社から昨年1年間で3倍以上の122社に増加した。
ポートフォリオ単位での目標を設定している署名機関は41機関あり、目標設定方法が存在する上場株式、公社債、不動産、インフラの4つのアセットクラスで、2025年までに22%以上、2030年までに49%以上のポートフォリオ排出量削減にコミット。ポートフォリオ単位での目標設定の対象となる運用資産は、昨年の1.5兆米ドルから2倍以上の3.3兆米ドルに増加した。
セクター別削減目標を設定している署名機関は全体の20%。目標削減率はセクターにより20%から33%の幅があった。NZAOAはセクター別削減目標を設定する署名機関を増やしたい考えで、セクター毎のデータギャップを埋めるため、企業やデータプロバイダーに緊急要請も発表した。
署名機関が提出した目標設定は、「Follow guidance or explain」の原則に基づき、NZAOAによって審査される。違反が確認される場合は、説明が要求され、十分な説明がなければ除名される。
【参照ページ】Net-Zero Asset Owner Alliance Progress Report demonstrates advance on decarbonisation targets
【参照ページ】Net-Zero Asset Owner Alliance calls on companies and data providers to provide critical sector data
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