国連の気候変動キャンペーン「Race to Zero」は9月16日、6月に実施した加盟基準を厳格化改訂に関し、「解釈ガイド」の一部文言修正を行った。専門家評価グループから、同時に発行した「解釈ガイド」の文章に法的な懸念があるのではないかという指摘があった。そのため今回あらためて意味を明確にした形。
【参考】【国際】気候変動Race to Zero、加盟基準を大幅厳格化。加盟日本企業86社にも大きな影響(2022年6月16日)
まず、削減努力のない(Unabated)化石燃料を段階的に削減・廃止の義務化を明文化していることをあらためて確認。原文では、国際エネルギー機関(IEA)のNZEシナリオがシナリオとして例示されていたが、今回の改訂では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のシナリオも別途存在していることも言及しつつ、いずれのシナリオでも削減努力のない(Unabated)化石燃料を段階的に削減・廃止を掲げていると付言した。また、原文にあった経済協力開発機構(OECD)加盟国は2030年、非OECE加盟国は2040年までに石炭火力発電の新設の禁止が要求されるとの文言は維持した。
2つ目は、石炭火力発電に関する文章の改訂。特にこちらに強い法的懸念があった。原文では、IEAやIPCCのシナリオに則り、化石燃料へのファイナンスを制限しなければならないとしており、それにより特に石炭火力発電プロジェクトは明確に禁止されるとの解釈を示していた。一方、今回の改訂では、基準となるシナリオに関しては「適切でグローバルな科学的根拠に基づくシナリオ」と意味合いを拡大した。その上で「新規石炭プロジェクトは全てのシナリオで認められていない」との解釈文は削除し、削減努力のない(Unabated)化石燃料関連資産であっても、新設へのファイナンスを段階的に廃止しなければならないことを明記した。また、それを実現するためのアプローチについては、各々の署名機関の判断とした。
要約すると、石炭火力発電プロジェクトが即刻禁止されるととりうる表現をあらため、改訂加盟基準に忠実な解釈に修正した形。Race to Zero事務局は、今後、加盟基準の遵守メカニズムや説明責任のルールを策定していく考え。
【参照ページ】Race to Zero clarifications
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