国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は10月9日、銀行向けのインパクト融資ガイドライン「インパクト・プロトコル」を発行。主にインパクトマネジメントが要求される国連責任銀行原則(PRB)署名機関向けに策定された。
今回のガイドラインは、UNEP FIが発行した「ポジティブ・インパクト・ファイナンス原則」に基づくもの。特に、PRBの原則2を履行するため、銀行のポートフォリオのインパクトを分析・マネジメントする方法の全体像を示した。UNEP FIは他に、インパクト分析ツールも公表しているが、今回のプロトコルは総則的な意味を持つ。
(出所)UNEP FI
同プロトコルでは、まず、戦略とガバナンスのレベルでの実施内容として、インパクトの特定、評価、目標設定、行動、モニタリングの5つを掲げている。そのため、結果としてのインパクト開示の次元ではなく、どのようなインパクトを狙うのかを特定し、さらに目標設定することも要件となっている。
インパクトマネジメントの範囲では、主要地域の主要事業で行うことが言及された。目標設定では、「SMART」ルールが掲げられた。SMATとは、Specific(具体性)、Measurable(測定可能)、Achievable(達成可能)、Relevant(関連性)、Time-based(期限)の5つのこと。また目標設定する上で重要なベースラインの設定、及び国際もしくは国内政策目標との整合性を確認するための準拠基準の明確な特定も明言された。
目標設定に向けては、PRBはすでに、サーキュラーエコノミー、生物多様性、金融インクルージョン&健全性、気候変動緩和、ジェンダーの観点でガイダンスを策定済み。
UNEP FIは今回、銀行向けポートフォリオ・インパクト分析ツールの第3版も発行。7月にリリースされた「コンテキスト・モジュール」と「特定モジュール」に続き、今回、初めて「評価モジュール」がリリースされた。11月には、リテール融資を対象とした評価モジュールもリリースされる予定で、これによってモジュールが一通り揃うこととなる。
【参照ページ】UNEP FI launches Impact Protocol for Banks
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