東京都は11月7日、「東京湾沿岸海岸保全基本計画[東京都区間]」の改定案をとりまとめた。気候変動の影響による平均海面水位上昇がすでに顕在化しつつあるため、防潮堤の高さを大幅に引き上げる。12月6日までパブリックコメントを募集する。
今回東京都は、将来の海面上昇量を、2019年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の海洋・雪氷圏特別報告書(SROCC)のRCP2.6のシナリオに基づき、上限として2100年時点の0.6m上昇と設定。東京都は、海面上昇により、南海トラフ地震での想定津波高を引き上げる必要があると判断した。海面上昇だけでなく、潮位偏差や波浪、降雨量の長期的変動も考慮した。
東京の海岸線は、旧江戸川から多摩川までの総延長193.8km。そのうち同計画の対象範囲は、国土保全のため防護が必要な範囲として都道府県知事が指定する「海岸保全区域」に定められた総延長108.0kmの海岸線とした。さらに海岸保全区域は、防潮堤と内部護岸の2つの地区に分けられ、防潮堤域は総延長約62km。そのうち今回の計画では、半数となる約30kmが嵩上げの対象となる。
防潮堤の高さは現在でも江東地区や副都心地区、葛西地区で最高で8m。今回の計画では8mの最高値は維持。その上で、現状低い個所を嵩上げしていく。嵩上げの高さは、豊洲地区で60cm、晴海地区で80cm、東部地区では最も高い1.4m。実際には場所によって高さは異なる。
IPCCの第6次評価報告書(AR6)では、SROCCよりも、さらに見通しが悪化しており、今回の設定でも不十分となる可能性も高い。東京都は今回の計画で、「2100年の計画天端高を目指し、まず、第一段階では、施設の耐用年数50年後の海面上昇予測分に、余裕高(30cm)を考慮し整備する」と方針を設定。2070年以降はさらに第2段階の対策が必要となるとの見方を示した。
今回東京都は、景観にも一定の配慮をみせた。また、護岸対策では、事業者やNPOとの連携を図っていくと意気込んだ。
(出所)東京都
【参照ページ】「東京湾沿岸海岸保全基本計画[東京都区間]」(改定案)について御意見を募集します
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