欧州委員会は11月16日、国連気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)の場で、アフリカへの大規模投資計画「グローバル・ゲートウェイ・アフリカ」の一環として、EUとアフリカ連合(AU)の気候変動適応・レジリエンスに関する新たなイニシアチブ「チーム・ヨーロッパ」を発足した。既存と新規のプログラムで、10億ユーロ(約1,500億円)以上を用意。そのうち損失・損害(ロス&ダメージ)に6,000万ユーロ(約88億円)を配分する。
【参考】【EU・アフリカ】EU、アフリカに20兆円投資。民間でも総額750億円以上。パリ協定・SDGs(2022年3月4日)
同イニシアチブは、欧州委員会が、デンマーク、フランス、ドイツ、オランダの各政府とともに発足。今後、他のEU加盟国や欧州の開発金融機関にも参加を募る。
同イニシアチブは、4つの柱で構成。まず、地域および国家レベルでの早期警報システムの強化、ガバナンスの強化、リスク情報に基づく意思決定の促進 。次に、革新的な気候リスク保険商品等、気候・災害リスク金融・保険(CDRFI)ツールやメカニズムを開発・実施し、気候リスクに対するグローバル・シールド等を支援。3つ目は、公共部門の準備態勢を強化し、民間部門を含む適応に関する国際的な気候変動資金を動員するためのメカニズムを支援。4つ目は、気候リスクデータの収集、集計、分析を支援することによる関連意思決定プロセスの改善。
また、ジョセップ・ボレルEU外務・安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は11月18日、ウズベキスタンのサマルカンドで、「持続可能な開発のためのEU・中央アジア・コネクティビティ会議」を共催。中央アジアでの「チーム・ヨーロッパ」体制を発表し、2つのEUグローバル・ゲートウェイ旗艦構想の開始を告げた。
まず、水、エネルギー、気候変動の分野では、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタンの5カ国を対象に、水とエネルギーの持続可能なマネジメントを進めるため、気候変動の観点を統合する。具体的には、水力発電、給水、衛生、廃棄物マネジメントの分野を含むインフラプロジェクトを支援する。
こちらに対しては、EU、フィンランド、フランス、ドイツ、イタリア、ラトビア、ルーマニア、スロバキアの各政府、欧州投資銀行(EIB)、欧州復興開発銀行(EBRD)が、EU予算2億ユーロ(約290億円)を含む7億ユーロ(約1,000億円)の初期資金を用意する。
もう一つがデジタル・コネクティビティ。人工衛星を活用した信頼できるインターネット・アクセスを強化する。カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタンの各地に、インターネット・エクスチェンジ・ポイントとグリーン・データ・センターを統合した施設を建設。既存のブロードバンド・インフラに接続する。
こちらでは、インターネット・アクセスとともに、デジタルデバイドの解消、通信分野を含むデジタルガバナンス改革、個人情報保護、サイバーセキュリティ、人権尊重を同時に実行。EUのデジタル外交に沿ったEUの高い水準とベストプラクティスを中央アジアに導入する。EUは、このプログラムを「開発のためのデジタル・ハブ(Digital4Development Hub)」構想の第1号と位置づけている。開発のためのデジタル・ハブでは、アジア、アフリカ、中南米、旧ソ連圏東欧に拠点を設置していく計画を進めている。
EUは、加盟国と国際金融機関の追加参加を含め、4,000万ユーロ(約60億円)を用意。EUは、ブロードバンドの普及率が10%上昇すると、中央アジアの経済成長率は約1%上昇し、インターネット接続率が1%上昇すると、輸出の伸び率が4.3%上昇するという世界銀行の調査結果にも言及した。
EUは、サステナビリティや社会的価値感を世界中に広げるため、「チーム・ヨーロッパ・イニシアチブ(TEI)」を続々と立ち上げている。チーム・ヨーロッパは、EU、EU加盟国、欧州投資銀行(EIB)、欧州復興開発銀行(EBRD)で構成。EUの2021年から2027年までの長期的なEU国際協力政策の柱となっている。すでに世界規模で4つ、地域単位で32、国単位で132のTEIが誕生済み。
【参照ページ】COP27: Team Europe steps up support for climate change adaptation and resilience in Africa under Global Gateway
【参照ページ】Global Gateway: Team Europe launches two initiatives in Central Asia on energy and on digital connectivity
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