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【国際】ブラックロック、TNFDに基づく情報開示を企業に推奨。2023年年次方針で発表

 投資運用世界大手米ブラックロックは12月20日、同社の投資先へのエンゲージメント方針「投資スチュワードシップ」の2023年版を発表。2022年の方針を継続した上で、2つの変更を加えたことを表明した。同方針は2023年1月1日から適用される。

 今回の変更では、まず、自然関連情報開示を重点項目として追加した。特に、現在策定作業中の自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)に基づく情報開示を企業が行うことが投資家にとって有用と伝えた。また、国の法規制により、TNFD以外のフレームワークでの開示が必要となるケースがあることにも理解を示した。

 2つ目は、気候変動やサステナビリティ関連のデータ開示のタイミングについて。データ集計には時間を要することも踏まえ、年次株主総会までに開示することが望ましいとした。

 今回のブラックロックの年次方針の発表は、例年とは違う意味で注目を集めていた。ウクライナ戦争以降のESG投資への懐疑的な見方や、米国での共和党によるESG批判が続く中、ブラックロックは投資スチュワードシップの内容を緩和せず、むしろ強化する方向性を示したことは非常に興味深い。

 同社に対しては、全米19州の司法長官が、各州の年金基金運営者の立場として、ブラックロックの投資姿勢への共同批判声明を発表。ブラックロックが、市民の年金資産を使って、化石燃料の段階的使用を企業に強制し、エネルギー価格の上昇、インフレを引き起こし、米国の国家安全保障を弱めるパリ協定等の国際条約の遵守を企業に強いていると非難。どの国際条約を遵守するかを決めるのは、ブラックロックではなく、連邦上院議員だと伝えた。また、投資パフォーマンスを犠牲にしているとの見方を伝えた。批判に参加した州は、アリゾナ州、ネブラスカ州、アラバマ州、アーカンソー州、ジョージア州、アイダホ州、インディアナ州、カンザス州、ケンタッキー州、ルイジアナ州、ミシシッピ州、ミズーリ州、モンタナ州、オハイオ州、オクラホマ州、サウスカロライナ州、テキサス州、ユタ州、ウェストバージニア州。

 これに対し、ブラックロックは9月6日、反論声明を発表。投資パフォーマンスのためにESG投資を実施しており、19州司法長官の見方は正しくないと伝えた。また、世界のGDPの90%以上を占める各国政府は、今後数十年のうちにカーボンニュートラルを実現することにコミットしており、気候変動リスクとエネルギー転換に前向きな姿勢をとる投資家や企業が、長期的に財務的な成果を上げると信じていると言及した。

 米国では11月の中間選挙でも、民主党と共和党の間でESG投資に対する見方が激しく対立。2024年の大統領選挙戦への出馬を表明したトランプ前大統領だけでなく、同じく出馬を模索していると見られるロン・デサンティス・フロリダ州知事も、ESG投資を声高に批判している。結果的に、下馬評以上に民衆等が中間選挙で善戦し、上院での過半数を死守したことで、関係者の間では一定の安堵がみられた。

 しかしそれ以降も、共和党州との政治的な対立は続き、12月にはフロリダ州財務長官が、ブラックロックに委託していた運用資産20億米ドル(約2,800億円)を引き揚げると発表。理由として、ブラックロックが、投資家の利益よりも政治を優先しているとした。実際に12月7日、同州行政委員会(SBA)に対し、ブラックロックを州の資産運用先から外すよう勧告した。SBAは、フロリダ州憲法に基づくフロリダ州の主要な独立した投資運用機関として創設され、フロリダ州退職年金制度の運用、フロリダ州退職投資計画の管理、フロリダ州ハリケーン災害基金の運用、フロリダ州PRIME、フロリダ州議会が指示する25以上の基金の運用を担っている。SBAの監督下にある資産総額は現在、2,170億米ドル以上。

【参照ページ】BlackRock Investment Stewardship
【参照ページ】Investment Stewardship 2023 Policies Summary
【参照ページ】Dear Mr. Fink
【参照ページ】Re: Attorneys General Letter, dated August 4, 2022
【参照ページ】CFO JIMMY PATRONIS: FLORIDA TREASURY DIVESTING FROM BLACKROCK
【参照ページ】CFO Jimmy Patronis to SBA: Florida Should Transition Away From BlackRock

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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