持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は12月5日、同団体の新興国でのゼロエミッション車(ZEV)移行支援イニシアチブ「ZEV新興国市場イニシアチブ(ZEV-EMI)」が、インドとメキシコでEV促進プロジェクトを開始したと発表した。
同イニシアチブは、英政府が主導して2020年11月に発足した「ゼロエミッション車トランジション協議会(ZEVTC)」を発展させるため、2022年11月の国連気候変動枠組条約第27回シャルム・エル・シェイク締約国会議(COP27)で、WBCSD、米政府、英政府が共同で立ち上げたもの。2023年7月には、インド市場におけるEVトラックの普及を促進する市場ルールの確立を目指し、インド政府のe-FASTイニシアチブと協力すると発表していた。
【参考】【インド】WBCSD、インド政府とEVトラック普及で協力。政策促進と市場ルール確立(2023年8月3日)
世界の自動車販売台数の約3分の1を新興国が占めているが、2023年のZEVの販売台数は3%しかない。EV充電インフラに占める新興国の割合も2%に過ぎず、世界の交通・輸送セクターのカーボンニュートラル実現に向けて大きな課題となっている。
今回の発表では、先進国と新興国の市場のギャップを解消するための4つのアクションを発表。1つ目は、インドにおけるZEV市場拡大の計画最適化とインフラへの投資促進のための国家間データ共有プラットフォームの展開。インフラニーズの予測と設備投資のためのナレッジを提供し、投資機会を創出する。データを有効活用することでZEV充電による二酸化炭素排出量を削減するパイロットプロジェクトを富士通がリードしている。
【参考】【国際】WBCSD、EV充電ステーション展開で行動枠組み。2030年までに2020年の20倍に(2023年8月13日)
次に、インド政府のe-FASTイニシアチブと協力し、インド市場におけるZEVトラックの普及促進プロジェクトへの資金調達タスクフォースを設置する。e-FASTイニシアチブは2022年9月、インドの道路貨物輸送自動車のEV化を目指し、NITI Aayog 、世界資源研究所(WRI)インド、世界経済フォーラム(WEF)が主導し設立された。加盟企業は、アディティア・ビルラ・グループ、アマゾン、ダンフォス・インド、DHL、Gentari、日本製鋼所、APモラー・マースク、ネスレ、ペプシコ・インド、Shree Cement、ウルトラテック・セメント、タタ・ケミカルズ等。
3つ目は、メキシコでのZEV-EMIの設立。今後数ヶ月にわたり、インフラ、ZEVパイロットプロジェクトの展開、キャパシティ・ビルディングの機会を検討する。
4つ目は、官民一体型のZEV促進プロジェクトのベストプラクティスをまとめた報告書の発表。同報告書では、「ハイレベルな官民での議論による共通の優先事項の特定」「市場創造の明確なサインを送るための戦略としての需要の集約」「デジタルコラボレーションによる充電インフラの計画と投資の最適化」「キャパシティ・ビルディングの重要性」の4つのポイントについて概説した。
【参照ページ】Leading companies form collaborative agreements in India and Mexico to drive investments in zero-emission vehicles
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら