
英金融シンクタンクNGOのプラネット・トラッカーは2月23日、広告代理店のカーボンニュートラルに対する姿勢を批判するキャンペーンを開始した。広告代理店が、ESG経営を実践していると表明しつつ、環境フットプリントの多い石油・ガス企業や自動車企業を広く支援していることを問題視するレポートを公表した。機関投資家に対し、広告代理店へのエンゲージメントを強化するよう伝えた。
広告代理店業界の市場規模は、現在8,220億米ドル(約120兆円)。そのうちIPG(インターパブリック・グループ)、オムニコム、ピュブリシス、WPP、電通、ハバスの6社が、多くの航行代理店をグループ傘下に有しており、グローバル大手クライアントの大半を担当している構造となっている。このうちハバスを除く6社は上場しており、近年、ESGを重視する姿勢を対外的の謳っていたりしている。ハバスについても、親会社ヴィヴェンディがハバスのIPOを検討していると言われている。
同レポートでは、Trucostのデータを活用し、環境フットプリントの大きい石油・ガス、自動車、アパレル、食品、消費財、IT・電機の6セクターを対象に、各セクターの売上上位となっているグローバル大手43社を抽出。そのうち環境データの開示が乏しい4社を除く39社を対象に、二酸化炭素排出量、廃棄物量、水消費量の3つの観点から環境フットプリントを評価し、主に担当している広告代理店とマッピングした。39社には、トヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、ソニーグループ、日立製作所の5社も含まれている。
同レポートが実施した作業は、ファインナンスド・エミッション(投融資カーボンフットプリント)と似ており、広告代理店に関しては「Advertised Emissions(広告排出量)」と呼ばれている。広告クライアント企業からの環境フットプリントを、広告代理店企業の排出量として割り当てた。但し、広告費全体に占める割合が開示されていないため、広告費割合等で按分するのではなく、主に担当している広告代理店に一括して割り当てた。これによって、機関投資家にとって、フットプリントの多い広告代理店を可視化する狙いがある。
同レポートは、持株比率の大きい機関投資家10社が、前述の上場している広告代理店5社の株式の平均43%を保有しており、機関投資家にとって重要なエンゲージメント対象になると訴えている。上位はいずれもパッシブ投資家のブラックロック、バンガード、キャピタル・グループ、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)等が占めている。その上で、機関投資家に対し、広告代理店業界に対する投資戦略の見直しやエンゲージメント強化等を要請した。
ピュブリシス、WPP、電通、ハバスの4社は現在、Race to Zeroに加盟している。Race to Zeroは現在、加盟機関向けのガイドラインを見直しており、Advertised Emissionsも含めていくことが検討されている。プラネット・トラッカーは、Advertised Emissionsの開示がルール化されれば、大手広告代理店は対応を迫られることになり、機関投資家にとってもリスクになると伝えた。
【参照ページ】Environmental Impact Analysis Reveals Advertising Agencies’ Silent Complicity
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