
ドイツ生物多様性統合研究センター(iDiv)とマルティン・ルター大学ハレ・ヴィッテンベルク(MLU)の研究者らは4月25日、気候変動が2050年頃までに生物多様性喪失の最大要因になる可能性があるとする論文を発表した。
生物多様性と生態系サービスに関する政府間プラットフォーム(IPBES)によると、土地利用変化は生物多様性変化の最大要因と考えられているが、過去数十年間で生物多様性がどれほど変化したのかについては、科学者の間でも意見が分かれている。
そのため同論文は、土地利用の変化が生物多様性に与えた影響をモデル化。土地利用の変化と気候変動が、4つの異なる生物多様性指標と9つの生態系サービスに与える影響を評価する13のモデルを比較した。実施されたマルチモデル研究は同種のものでは世界最大。論文は学術誌『Science』に掲載された。
その結果、土地利用変化だけで、世界の生物多様性は2%から11%減少した可能性があることがわかった。また、一般的に使用されている3つのシナリオを活用し、将来を見通した所、全てのシナリオにおいて、土地利用変化と気候変動の複合的な影響により、世界のすべての地域で生物多様性が失われることがわかった。一方、世界の地域、モデル、シナリオによって喪失状況にはかなりのばらつきが出た。
特に、気候変動が2050年頃までに、土地利用変化を越え、生物多様性喪失の最大要因となる可能性があることが示された。
同論文は、土地利用変化と気候変動が生物多様性に相乗的な悪影響を及ぼす可能性があることを指摘し、必要な自然気候の解決策として、生態系の保全と再生を世界的に優先すべきと強調した。
【参照ページ】Climate change could become the main driver of biodiversity decline by mid-century
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