
国際的な環境情報開示推進NGOのCDPは6月25日、スコープ3削減を加速させるための新たなレポートを、ボストンコンサルティンググループと共同発行した。企業と投資家の双方に対し特定のアクションを促した。
同レポートでは、2023年のCDP気候変動回答企業において、スコープ3排出量が、スコープ1・2排出量の平均26倍あることを示しつつ、上流サプライチェーンのスコープ3目標を設定している企業は15%にとどまっていることを課題視した。製造業、小売業、素材セクターの上流サプライチェーンでの排出量は、2022年にEUで排出された温室効果ガス排出量の1.4倍に相当する。
スコープ3削減を加速させるため、企業に対しては3つのアクションを促した。まず、取締役会の強化。気候変動に対する監督と能力を持つ取締役会がある企業は、スコープ3削減目標と1.5℃目標と整合する移行計画(トランジション・プラン)を持つ確率が5倍高いという。
次に、サプライヤー・エンゲージメント・プログラムの展開。気候変動に関連する問題に関してサプライヤーと協働している企業は、スコープ3削減目標と1.5℃目標と整合する移行計画(トランジション・プラン)を持つ確率が約7倍高かった。現状では、サプライヤーと協働している企業は4割にとどまっている。
3つ目が、インターナル・カーボンプライシング(内部炭素価格制度)の導入。すべてのビジネス上の意思決定に対し、インターナル・カーボンプライシングを義務付けている企業は、スコープ3削減目標と1.5℃目標と整合する移行計画(トランジション・プラン)を持つ確率が4倍高かった。炭素価格を1t当たり約75米ドルとした場合、2023年に開示された製造業、小売業、素材セクターの上流サプライチェーンだけでも、3,350億米ドルを超える炭素負債が存在していることになった。
機関投資家に対しては、気候調整後CAPM(資本資産評価モデル)の導入を促した。気候調整後CAPMでは、物理的リスク、規制リスク、その他の移行リスクの3つを「気候リスク」として設定。気候調整後CAPMは「リスクフリー・レート+市場リスクプレミアム+気候リスク」で計算することを伝えた。さらに、発展型の気候リスク算出方法として、国インデックス、保険コスト、グリーンプレミアム等を加味した算出方法についても提示した。
【参照ページ】Corporates’ supply chain scope 3 emissions are 26 times higher than their operational emissions
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