
米スコット・ベッセント財務長官は4月9日、東部夏時間4月9日0時1分に発動した相互関税の上乗せを90日間停止し、東部夏時間4月5日0時1分に発動した一律10%の相互関税のみを適用すると発表した。これにより、日本の相互関税率も24%から10%に引き下げられた。但し、中国に対してのみ相互関税を125%にまで引き上げる。
【参考】【アメリカ】トランプ大統領、相互追加関税決定。日本24%。中国はデミニマス廃止も(2025年4月3日)
ベンセント財務長官は今回、大幅な相互関税を課したのは、トランプ大統領の「交渉戦略」だったと表明。相互関税の発表以降、75カ国が米国との交渉を開始し、よりよい貿易協定に向けた交渉を引き出すことができたと語った。今回の相互関税に対して各国が交渉に乗り出したことは、米国が世界の中で非常に重要な市場であることが証明されたと伝え、このような交渉開始を勝ち取るまで、相互関税の姿勢を貫くには大きな勇気が必要だったとも述べた。
また、4月2日の相互関税の発表時には、各国政府に対し「報復関税を課すな」と言明していたが、中国政府は報復関税を課し、問題をエスカレートしてたきため、相互関税を125%まで引き上げると理由を話した。
中国に関しては、近代世界史で最も不均衡な経済と指摘。あえて中国に報復関税を課させることで、中国を「バッド・アクター(悪い行為者)」として浮かび上がらせ、中国に対して厳しい関税を課す結果を掴み取ったとの趣旨の説明も行った。カナダは、報復関税を4月3日に発表していたが、理由は相互関税への報復ではなく、自動車関税への報復としていた。
トランプ大統領は4月2日、中国及び香港に対し、デミニマス・ルールを撤廃し、800米ドル以下の物品に対し、東部夏時間5月2日0時1分から、新たな関税を課す大統領令にも署名している。関税額は、30%もしくは郵便物1件につき25米ドル(6月1日以降は50米ドル)のいずれか。さらに4月8日には新たな大統領令に署名し、関税額を、90%もしくは郵便物1件につき75米ドル(6月1日以降は150米ドル)に引き上げている。
中国に関しては、国務院関税税則委員会が4月9日、米国に対する報復関税を34%から84%へと引き上げることを決定。さらに商務部も同日、中華人民共和国外国貿易法、中華人民共和国民法安全法、中華人民共和国外国制裁法等に基づき、米国6社を「信頼できない実体のリストに関する規定」の対象企業に指定。中国との輸出入及び中国への新規投資を禁止した。また、中華人民共和国輸出管理条例、中華人民共和国軍民両用物資輸出管理条例等の関連法規の規定に基づき、米国12社を輸出管理リストに追加し、デュアルユース(軍民両用)物品の輸出を禁止していた。
今回の発表について、本当にトランプ大統領の「交渉戦略」だったのか、株価指数が大きく減少していることを受けた対策だったのかは現時点では不明。また停止期間は90日間となっているため、各国政府との交渉が進展しなければ、再び相互関税が課されることも想定され、米国政府がどこまで相手国からの譲歩を引き出していくに焦点が集まる。
【参照ページ】Further Amendment to Duties Addressing the Synthetic Opioid Supply Chain in the People’s Republic of China as Applied to Low-Value Imports
【参照ページ】AMENDMENT TO RECIPROCAL TARIFFS AND UPDATED DUTIES AS APPLIED TO LOW-VALUE IMPORTS FROM THE PEOPLE’S REPUBLIC OF CHINA
【参照ページ】国务院关税税则委员会关于调整对原产于美国的进口商品加征关税措施的公告
【参照ページ】不可靠实体清单工作机制关于将护盾人工智能公司等6家美国企业列入不可靠实体清单的公告
【参照ページ】商务部公告2025年第22号 公布将12家美国实体列入出口管制管控名单
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