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【イギリス】世界最大規模風力発電所、最終投資を意思決定。設備容量1.2GW 2016/05/13 最新ニュース

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 イギリス沖で世界最大規模の洋上風力発電所プロジェクトが展開されている。設備容量は1.2GW。東日本大震災前の福島第一原子力発電所の設備容量が約4.7GW、再稼働した九州電力の川内原子力発電所の設備容量は1.78GW。1.2GWの設備容量がどれほど大きい規模か想像に固くない。もちろん、常時安定出力が可能な原子力発電所と異なり、風力発電所の実際に発電能力はそれに大きく劣るが、海外では再生可能エネルギーへの投資が今も続いている。

 この発電所の名称は「Hornsea Project One」。イギリス東部ヨークシャーから120kmの沖に建設中で、面積は407km²(東京ドーム10個分)、ここにシーメンス製の出力7MWの大規模風力発電機が約240基設置される予定だ。設備容量が1GWを超える風力発電所はこれまで世界に例がなく、完成すれば世界最大規模となる。

Honrsea Project One
(出所)Dong Energy

 この発電所の建設を手がけているのは、デンマークの国営電力会社DONG Energy社だ。もともと「Hornsea Project One」プロジェクトは、2010年に再生可能エネルギー専門の民間電力会社Mainstream Renewable Power(本社アイルランド・ダブリン)と独総合電機大手シーメンスのインフラ投資子会社であるSiemens Project Venturesが50%ずつを出資する子会社「SMart Wind社」によって組成され、英国王室領を管理するCrown Estate社からプロジェクト承認を獲得していた。DONG Energyは2011年にSMart Wind社の33.3%の株式を取得、2015年に残りの株式を取得し、SMart Wind社を同社の完全子会社にした。そして、今年3月2日、Dong Energyは「Hornsea Project One」への最終投資意思決定を下した。「Hornsea Project One」の建設は、陸上部分が2016年から、洋上部分は2018年から始まり、全体の完成は2020年を予定している。「Hornsea Project One」で発電された電力については、英国が15年間固定価格で買い取ることですでに2014年に英国政府との契約(Final Investment Decision Enabling contract)が交わされている。

 DONG Energyのチャレンジはさらに続く。SMart Wind社が英国から洋上風力発電許可を得ているのは「Hornsea Project One」の470km²だけでなく、その10倍以上あるHoensea地区全体4,735km²だ。今後DONG Energyは「Hornsea Project One」の後に、「Hornsea Project Two」「Hornsea Project Three」という風力発電所をさらに拡大していく予定だ。全部完成すると総設備容量は4.2GWに達し、福島第一原子力発電所の設備容量に近づく。その上、DONG Energyは「Honrsea」以外でもすでに英国内で合計2GWの風力発電所プロジェクトを展開中だ。DONG Energyは2020年までに風力発電設備容量を6.5GW保有する戦略を打ち出しており、今回の投資決定により、その目標達成に大きく近づいた。また、英国政府も2020年までに再生可能エネルギー電力割合を15%に上げる目標を掲げている。

 このような大胆な投資決定は、デンマーク国営だからというわけでもなさそうだ。DONG Energyの株主構成はながらく、デンマーク政府76%、別のデンマーク電力会社であるSEAS-NVEとSyd Energiがそれぞれ11%、7%、残り6%が少数株主という状況であった。これが一変したのが2014年、DONG Energyは今に続く大規模投資を展開するために大型増資を行い、結果米投資銀行ゴールドマン・サックス19%、デンマーク労働市場付加年金(ATP)が5%、デンマークPFA年金基金(PFA)が2%を取得した。ゴールドマン・サックスとの契約により、DONG Energyは2018年に株式上場させることが決まっている。

 ゴールドマン・サックスの株式取得はデンマーク国会でも議論が真っ二つに分かれた。反対派は株式売却価格が低すぎることを糾弾したが、最終的には賛成派であった与党側が押し切った形だ。その後、ゴールドマン・サックスが参画することにより、風力発電事業の縮小を危惧する声も出たが、結果的には巨額増資により風力発電への投資は拡大している。そのことが風力発電が高いリターンを挙げると判断されているかはまだわからない。ゴールドマン・サックスは、割安で株式取得を実現した上に、株式取得時に大幅な意志決定への関与と2018年の株式上場を勝ち取っており、少なくとも数年後の株式売却時には高値で売れるとの判断もありそうだ。風力発電の事業性についての本格的な判断は、上場後の株価に委ねられるのかもしれない。

【参照ページ】About Hornsea Project One
【参照ページ】DONG Energy to build new record size offshore wind farm
【参照ページ】DONG Energy IPO could be the biggest in Denmark’s history
【参照ページ】Goldman Sachs ready to disclose DONG info

株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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