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【日本】GPIF、東証一部上場企業対象の2018年アンケート結果を公表。長期志向がやや浸透

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は4月4日、東証一部上場企業を対象に実施した機関投資家のスチュワード活動に関する第3回アンケートの結果を公表した。IRミーティングの変化、運用会社による統合報告書の活用状況、集団的エンゲージメントの対応評価、議決権行使に関する対話、ESGインデックス採用に関する評価等、GPIFが目指す企業の長期経営に向けた内容となっている。

 GPIFは、運用会社のスチュワードシップ活動の動向を把握するため定期的に上場企業にもアンケートを実施。昨年まではJPX400採用企業のみを対象としていたが、今年から東証一部上場企業にアンケート送付対象を拡大した。今回の回答率は30.2%。2,052社にアンケートを送付し619社から回答があった。企業規模別では、大企業の回答率が86.1%に対し、小型企業は17.7%と規模により大きな差が出た。

 GPIFから運用委託を受けている運用会社とのIRミーティングについて、約4割の企業が好ましい変化を感じると回答。好ましくない変化が増えたとしたのはわずか0.5%だった。その背景として、経営戦略に関する対話が中長期視点になってきていると回答した企業が約57%と多かった。一方、長期ビジョンを運用会社に示しているかという設問では70.5%の企業が「している」と答えたが、長期ビジョンの時間軸については、3年とした企業が約42%、5年とした企業が約30%と多数を占め、15年以上とした企業はわずか1.4%だった。GPIFは、「中期経営計画期間=長期ビジョンの期間としている企業が多」いという認識を示した。

 運用会社の統合報告書活用では、作成企業のみに回答を絞っても、「大きな変化が見られない」が74%と大多数。「進んでいると感じる」は17.5%にとどまった。株主総会後の対応での変化に関しては、「特に変化はなかった」が72.2%と多かったが、「機関投資家に直接訪問して今回の行使結果について内容を伺うなどの能動的な動きが生じた」や「面談の中で、賛否に関するアセットオーナーへの説明責任が厳格化していることを感じた」とする意見もあった。議決権行使結果に関しても、求められれば運用会社が説明に応じるている様子も伺えた。

 アンケート回答企業が機関投資家一般に向けた対応状況では、機関投資家との面談数は年間平均約180回。そのうち国内の機関投資家が平均119回、海外が平均61回とう状況だった。非財務情報に関して用いる用語の順は、「CSR」が最多で、次いで「ESG」「サステナビリティ」「SDGs」「CSV」の順だった。海外では「サステナビリティ」という用語が一般的だが、日本ではGPIFのESG投資を機に非財務情報への関心が高まったため「ESG」という用語が先行して広がっているようだ。

 非財務情報で重視しているテーマは、「コーポレートガバナンス」が67.4%で最多。次いで「ダイバーシティ」「気候変動」「人権と地域社会」「健康と安全」「製品サービスの安全」の順。一方、少ないものから「税の透明性」「紛争鉱物」「少数株主保護」「不祥事」「腐敗防止」の順だった。

 GPIFがESGインデックス投資を開始したことについては、全般的に肯定的な意見が多く、明確に「評価しない」と回答した企業はごくわずかだった。

 今後の期待では、非財務情報の活用方法の明確化、長期的視点での対話の強化、中小型株企業との対話機会の増加等の声が上がった。

【参照ページ】「第3回 機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」の公表について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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