世界銀行と世界銀行防災グローバルファシリティ(GFDRR)は6月19日、低中所得国での防災インフラへの投資対効果は1米ドルにつき4米ドルと試算した報告書を発表した。世界銀行は、道路や橋、発電所だけでなく、健康、教育、生活に関する質の高いインフラを含め「強靭なインフラ」と呼んでいる。今回の報告書は、「日本-世界銀行防災共同プログラム」の支援で実現した。
今日、世界のインフラ崩壊による企業の損失は年間3,000億米ドル(約32兆円)にも上る。直接市民への影響を与えるインパクトも年間900億米ドル(約9.7兆円)ある。インフラの脆弱性は特にアフリカや南アジア、東南アジア、中南米の低中所得国に顕著。今回の報告書では、重要なインフラである電力、水・衛生、交通、電気通信の4つについて詳細に検証した。
自然災害によるインフラ崩壊が、これまで考えられた以上の被害を与えることをわかってきた。例えば、自然災害により、発電所や交通インフラに直接被害が及び、低所得国と中所得国で年間約180億米ドルの負担が生じている。加えて、インフラが被災したことによる企業や市民への影響は、それを遥かに上回る年間3,900億米ドルの負担となっている。
同報告書は、提言として5つをまとめた。まず、インフラの不適切な管理やガバナンス是正の問題。次に政治経済に関する制度面の課題で、必要な部分に十分に投資がなされるべきとした。続いて、財政的インセンティブの活用。そして、都市部の数値標高モデルの導入。最後に、事後の災害復旧・復興よりも投資効果が高い防災への資金投入。
【参照ページ】世界銀行報告書、より強靱なインフラへの投資は4.2兆ドルの費用削減を可能にすると指摘
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